広東省の広州地下鉄は最近、「安全性」を考慮してエスカレーターの「右立ち、左空け」は推奨しないとの見方を示した。広州地下鉄は、「『右立ち、左空け』をすると、エスカレーターにかかる力が不均衡となり、故障頻発の原因となるほか、エスカレーターを歩くと危険であるため、できるだけ歩かないように」と注意喚起している。羊城晩報が報じた。
広州の多くの市民が習慣的に「右立ち、左空け」している(撮影・湯銘明)
「右立ち、左空け」はステップの傾きの原因に
中国でもいつからか、エスカレーターに乗るときは「右立ち、左空け」し、左は歩く人のために開けておくというのが、公認の「マナー」となっている。しかし、広州地下鉄によると、エスカレーターのメンテナンスで、エスカレーターの約95%は、右側の駆動チェーンの摩耗が明らかに左側より激しく、ステップが少し斜めになったり、ステップの両側の内側板やステップライザーの摩耗が激しくなったりする原因となっているという。
メンテナンススタッフによると、エスカレーターは設計時に、長時間かかる力が不均衡であることを考慮に入れているものの、「右立ち、左空け」をすると、エスカレーターの一部の部品に力がかかって摩耗する原因となり、その寿命が短くなり、エスカレーターの故障が頻発する原因となるという。
広州地下鉄は、「エスカレーターと階段では蹴上げの高さが異なる。エスカレーターの蹴上げは21センチで、公共施設の階段は15センチが基準。エスカレーターを歩くと、踏み外したり、つまずいたりしやすい。また、歩くと他の人に接触して、事故につながる可能性もある。そのため、安全性という観点から、エスカレーターに乗る時は手すりにしっかりとつかまり、足元の安全に注意しなければならない。急いでいる人は、階段を利用するほうが無難」と注意を呼びかけている。
香港、上海は「右立ち、左空け」推奨中止
香港地下鉄は十数年前、欧米を参考にして、混雑時の客の流れをよくしようと「右立ち、左空け」を奨励した。しかし、2010年から、「右立ち、左空け」奨励はやめて、「手すりにしっかりつかまり、じっと立っているように」と奨励するようになった。ただ、実際には、香港のほとんどの市民が今でも「右立ち、左空け」している。
10年の上海万国博覧会開催期間中、「右立ち、左空け」が上海で大々的にPRされ、その時から「右立ち、左空け」が中国全体で知られるようになり、多くの都市が上海を参考にして「右立ち、左空け」を奨励するようになった。しかし、12年までに、上海の市民の間で「右立ち、左空け」に対して疑問を投げかける声が上がり、上海軌道交通運営管理センターは、「安全第一という観点から、『右立ち、左空け』をもう奨励しないことにする」と発表した。 (編集KN)
「人民網日本語版」2018年4月25日
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