中国でハイテクを意味する言葉をみてみると、今や「高科技」という言い方さえ古くさくなり、「黒科技」が日常的に使用される新たな人気ワードとなっている。国家言語文字活動委員会が29日に発表した「言語生活白書」の中の「中国言語生活状況報告2018年版」では、この「黒科技」の「黒」を説明するために一章を割いている。この「黒」には一体どんな意味が込められているのだろうか。「科技日報」が伝えた。
同報告によれば、「現代漢語詞典」を見ると「黒」には8つの意味があり、このうち形容詞としての使い方は以下の4つ。
1.墨や煤のような色、白の反対
2.暗い、光が不足した状態
3.隠蔽された、違法な
4.あくどい
このように説明されている。ここから「黒」には中立的な意味合いと悪い意味合いがあることがわかる。だが「黒科技」はそのような意味合いから理解してはいけない。
同報告では「黒科技」の由来を分析している。「黒科技」の由来は日本のライトノベルを原作としたアニメ「フルメタル・パニック」に登場する架空の技術の総称「ブラックテクノロジー」からきており、人類の理解や既存の科学技術水準を超越した科学技術革新(イノベーション)やその製品のことを指していた。このような日本語における「ブラックテクノロジー」に比べ、中国語の「黒科技」はもっと広い範囲の意味で使用されている。日本語では、現在は実現していないが未来には実現するかもしれない科学技術のコンセプトを指し、また一方ではすでに実現しているがほとんどの人の理解の範疇を超越した高度で精密で先進的な技術とその製品も指している。しかし、日本語の「ブラックテクノロジー」が中国に渡り、「黒技術」になると、当初は「理解不可能、実現不可能」という意味だったものが、「人類が理解できて、未来に実現可能」となり、さらには「すでに実現または部分的に実現したが、一般人の理解の範疇や接触の範囲を超えたもの」に変遷していった。
「黒科技」の人気はいつ頃から高まったかという点について同報告は、「『黒科技』は2011年に上位の検索ワードになり、16年には一般サイト検索指数とメディア指数がピークに達した。17年はさらに高水準を維持した。新聞報道を主なデータ供給源とするトップニュース指数では、17年の1日あたりの人気度は最高で37万6400ポイントに達した」と指摘した。
このような「黒科技」だが、なかには「まがいもの」も生じていると同報告は指摘し、「一部の『ニセ黒科技』は人気ワードにあやかろうとしている。たとえば一問一答式の簡単な会話しかできないような一部のスマートロボットと称するものは、見かけは立派だが、理念の革新もなければ、技術のブレークスルーもないにもかかわらず、『黒科技』を喧伝している。またモバイルバッテリー機能を搭載しただけの日記帳を『スマートノート』と呼んだりする。こうした詐欺的な技術や製品は真の『黒科技』が育つ土壌をむしばんでいるといえる。各種の真の『黒科技』の革新発展を保護し促進して、科学技術が人類に幸福をもたらすようにしなければならない」と強調した。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年5月31日
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