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中日韓FTA交渉メカニズムに重大なブレークスルーか

人民網日本語版 2018年05月30日15:43

中国社会科学院日本研究所と社会科学文献出版社は29日、「日本経済青書:日本経済と中日経済貿易関係の研究報告(2018年)」を発表するイベントを開いた。人民網が伝えた。

18年の日本は環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)の米国を除く11ヶ国が署名した新協定のTPP11(CPTPP)、中国・日本・韓国自由貿易協定(中日韓FTA)、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)を代表とする自由貿易交渉を全力で推進する方向で、このうち中日韓FTAを通商戦略の多国間モデルにしようとしている。この3つのFTAの交渉の状況と推進力をみると、優位性もあれば難題もあり、進展があると同時に不確定性も存在する。TPP11の進展状況をみると、日本は13年に米国が主導するTPP交渉への参加を発表し、16年2月に協定に調印し、国会はその年の11月10日にTPP承認案と関連法案を可決した。だが米国が17年1月に離脱を表明すると、米日が主導してきたTPPは日本とオーストラリアが主導するTPP11に変化し、11ヶ国には米国抜きのTPPを推進し続けるかどうかで「温度差」がみられるようになった。11ヶ国のうち、日本とオーストラリア、ニュージーランド、メキシコは米国抜きTPPの成立に前向きで、TPPメカニズムの形を整えることで、米国を復帰させようと考えている。一方、ベトナムとマレーシア、ペルー、チリは元々北米エリアのみならず世界でも最大の市場である米国市場を見据えてTPPに参加したため、繊維製品などの分野での優位性に自信をもっていたが、米国が離脱した場合、日本市場への参入は難しく、カナダなどは市場規模があまりに小さいため、TPPにあまり魅力を感じなくなってきている。また、シンガポールとブルネイ、カナダは様子見のムードが強い。こうした背景の下、日本は説得や宣伝活動、凍結項目の先送り、適切な支援を通じ、17年7月に神奈川県箱根町で行われた首席交渉官会合、同11月にベトナムで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)開催中に打ち出されたベトナムなど各国の関連産業への政府開発援助(ODA)、人材育成、自動化水準向上などをめぐる支援の拡大、また農産品、穀物加工などの分野における技術移転と日系企業による投資の拡大といった譲歩措置によって、TPPをTPP11に転換させることに成功した。

TPP11の起死回生は日本がアジア・太平洋でのルール制定や通商をめぐって発言権を強めるための有力な手段となる。中国の提唱する「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブの影響力が拡大を続け、中国が政治的にも、経済貿易の面でも強い勢いをみせる中、日本は中国との交渉で一定のカードを握り、ベトナムを引き込んでインドシナ半島と東南アジアでの中国の「一帯一路」推進のペースと質を低下させなくてはならず、米国に関わる項目を凍結・改正する戦略をとり、米国のTPP復帰の可能性を残しつつ、アジア・太平洋地域での日本の地位を向上させる必要がある。日本にとっては、政治的な意義とルール制定をめぐる意義が、獲得できるとみられる経済的利益などよりも大きい。中日韓FTAの進展状況をみると、中韓FTAが中日韓FTAよりも先に調印され、日韓FTAは05年の中断から止まったままで、中日FTAは議事日程にさえ挙がっていない。そこで18年のうちに中日韓FTAがブレークスルーを達成できるかどうかには、引き続き未知の要因と地縁政治的な不確定性が横たわっているといえる。日本では中日韓FTAの推進にさまざまな疑問の声が上がっているが、地域一帯化協力の推進、米国の反グローバリゼーションの動きへの対応、アジアの経済リーダーという日本の役割の再構築などの観点から出発すれば、中日韓FTAの推進には客観的な需要があり、主観的な勢いもあるといえる。米国の離脱によりTPPの人口規模は世界の11%から6%に縮小し、国内総生産(GDP)の規模も37%から13%に縮小した。中日韓FTAであれば、人口規模は世界の40%にあたり、GDPの規模は世界の20%、アジアでは70%にも達する。これは日本が地域レベルの通商戦略を推進し、米国・欧州との通商交渉において制度面で機先を制しようとする場合に捨て置けない利益でもある。18年内に中日韓FTA第13回交渉会合がスタートし、中日韓首脳会議が開催され、中日の首脳の相互訪問が実現されようとする重大なチャンスの訪れとともに、中日韓FTA交渉メカニズムは重大なブレークスルーを達成するチャンスを迎える可能性がある。(編集KS)

「人民網日本語版」2018年5月30日

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