生活水準の向上に伴い、保護者が子どもに与えられる環境もますますよくなってきている。しかし一部の保護者は子どもに対する関心を物質的な条件とみなして過度に重要視している。さらには、子どもに優れた環境を与えられないことを危惧し、子どもを生まないという選択をする若者すら存在する。しかし、子どものしっかりした性格や品性、習慣などを形作るのは物質的な条件や物質的な豊かさだけによって決まるものではない。
先週、中国青年報社会調査センターは保護者1968人を対象にアンケートを実施。アンケート結果によると、子どもの物質的な条件を過度に重要視する現象が「よく見られる」と答えた保護者は94.2%にも上った。しかし、子どもの育成において、物質的な条件を与えることよりも、子どもと一緒にいてあげることの方が重要だと答えた保護者は86.6%に上った。つまり、物質的な豊かさよりも精神的豊かさを子どもに与えることを重要と考えている保護者は少なくないということがアンケートから読み取れる。
アンケートに回答した保護者のうち、一人っ子の保護者は88.8%、二人以上の子どもを持つ保護者は11.2%だった。保護者の年代をみると、90後(1990年代生まれ)の保護者が22.1%、80後(1980年代生まれ)は57.1%、70後(1970年代生まれ)は15.0%、60後(1960年代生まれ)は4.6%だった。地域別にみると、北京と上海、広州、深センの保護者が30.8%、その他都市の保護者が21.5%、県や農村地域の保護者が9.3%だった。
では何故一部の保護者は、子どもに与える物質的な条件を過度に重要視するのだろうか。アンケート結果によれば、54.1%の保護者は子どもに自分が幼い頃には無かった優れたものを手に入れてほしい、残念な思いをさせたくないと考えており、48.5%の保護者は自分も一人っ子で親に良い環境の中で育てられた為、自分の子どもにも物質的に最高の条件を与えたいと考えていた。また、それ以外の要因として、子どもと一緒にいてあげられる時間が少ないため、それを物質的な条件で埋め合わせをする(34.2%)、他人の子どもと色々比べてしまうから(28.3%)、経済的条件が優れているから(24.1%)、広告の影響を受けて(22.5%)などがあげられた。
華東交通大学心理素質教育研究院の舒曼常務副院長は、「一部の保護者は物を与えることで子どもに埋め合わせをしたいと考えている。これはある意味、子どもを愛しているという名のもとに、自分自身の需要を満たしたり、内心の焦りを緩和する心理を投影している行為と言えるだろう。物質的な条件でのみ子どもの需要や要求を満たすことは、子どもの成長にあまり役立たないばかりか、マイナスの影響も及ぼす可能性すらある」との見方を示している。
子どもを育てる際、保護者はどういった面を重要視するのだろうか。アンケートによると、子どもの礼儀正しさと答えた保護者は61.6%、年長者を敬い、自分の家族を思いやることと答えた保護者は55.7%だった。また、それ以外では、友達との付き合い方(39.0%)、よく遊び、よく運動し、大自然に親しむこと(34.4%)、家事などを教え、小さい頃から自立できる能力を育むこと(33.9%)、物事に対する責任感を育む(30.9%)、各地に旅行することで子どもの視野を広げる(22.7%)、詩を読ませるなど中国古来の文化を学ばせる(20.9%)、外国語の習得(20.7%)、中国人としての誇り(20.3%)などが挙がった。
西南大学教育学部の石隆偉副教授は、「現代社会は、自分の子どもと他人の子どもを色々なことで比べる風潮が強い。しかし、保護者は子どもの健やかな成長のためにもこのような風潮には影響を受けないようにすべき」としている。我慢することを知り、質素さを尊ぶという考えや行動スタイルは優れた素質であるとともに、一種の美徳と言え、子どもたちの心の健康にも重要な役割を果たすことになる。石隆偉副教授は、保護者が子どもの労働に対する考え方や行動を育むことを重要視するべきであるとし、特に、子どもの性格や人格に偏りや問題が生じることを避けるため、留守児童(両親の出稼ぎで、農村部に残された子どもたち)の保護者はできる限り子どもと一緒に過ごすべきだとアドバイスしている。(編集HQ)
「人民網日本語版」2018年6月1日
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