米国のマティス国防長官が中国の魏鳳和国務委員兼国防部長(国防相)の招待を受けて26日から28日まで訪中する。米国防長官の訪中は2014年以来だ。マティス長官にとっては昨年1月の就任以来初の訪中であり、中国国防部長との正式な会談も初めてだ。中国青年報が伝えた。
トランプ政権の重要なタカ派の代表的人物であるマティス長官は就任以来対中強硬政策を遂行してきた。だが訪中へ向かう機内で米記者のインタビューに応じた際は「今回は中国側と率直な対話をしたい。重点は溝ではなく、重要な戦略的問題だ」と明かした。朝鮮半島情勢、南中国海問題、中米の軍事関係が今回の中心議題になるとアナリストは指摘する。
■朝鮮半島非核化のタイムテーブルが焦点に
朝鮮半島問題は現在正念場にあり、最も重要なのが非核化プロセスだ。米国時間の24日、マティス長官に同行する国防総省報道官はメディアに対し、米国がシンガポールでの米朝首脳会談での合意を実行に移すため、「具体的要求」を含む非核化の具体的日程を速やかに朝鮮側に示すことを明らかにした。ローガン報道官はタイムテーブルについて詳細は明らかにしなかったが、びっしりと組まれていると指摘した。
朝鮮半島問題で、中国側は一貫して「相互停止」案を主張してきた。つまり朝鮮側は核実験を停止し、米韓は大規模な軍事演習を停止するというものだ。現在の米朝の連動は中国側の提案が筋が通っており、現実的かつ実行可能であることを証明している。「相互停止」を基礎に、朝鮮半島問題の解決をどう推し進めるかがマティス長官訪中の中心任務に違いないと分析される。マティス長官は中国側の支持を取りつけるため、朝鮮半島非核化プロセスのタイムテーブルの問題を取り上げる可能性が高い。
■南中国海問題は核心的試練の1つ
朝鮮半島問題以外では、南中国海問題も重要議題となる可能性が高い。昨年1月の就任以来、マティス長官は繰り返し南中国海問題を意図的に誇張し、いわれなき対中非難をしてきた。
マティス長官らが中心となって推し進める「インド太平洋戦略」と「対中戦略」のいずれにおいても、米国は中国を「主要な戦略的競合相手」としてきた。南中国海問題では特にそうだ。中国側はこの問題において、冷戦思考を棄て、中国側と向き合って進むよう米側に繰り返し呼びかけてきた。したがって、今回の訪中でマティス長官が南中国海問題で中国側と共通認識を形成できるかどうかが大いに注目される。これは中米関係の将来の行方にとっての核心的試練の1つでもある。
■米側が中国側と向き合って進むことを希望
マティス長官は就任から17カ月の間にアジアを7回訪問したが、訪中は今回が初めてだ。これは現在の中米の軍事関係を示すものでもある。
今年初めに米国防総省の公表した新「国家防衛戦略」は、「すでにテロリズムではなく、国家間の戦略競争が米国の国家安全保障にとって最大の懸念となっている」と明記した。そして中露はまさに米国の主要な競争の対象だ。この肝要な時期にトランプ大統領が初めてマティス長官を中国に派遣したのには、深長な意図がある。「中国を米国の主要な戦略的ライバルとすることはトランプ政権にとって既定路線であり、マティス長官の訪中はこの戦略の調整を意味するものではない。それよりも、中米両軍の溝を埋め、潜在的衝突の可能性を引き下げ、軍事的対立のリスクを減らすためだろう」との分析がある。
マティス長官の訪中について、中国国防部(国防省)の任国強報道官は25日「中国の国と軍の指導者がマティス長官と会談し、両国・両軍関係及び関心を共有する問題について意見交換する」と表明。「健全で安定した中米両軍関係の発展は中米双方の共通利益にかない、国際社会も一致して期待している。中国側は米側との軍事関係の発展を非常に重視している。米側が中国側と向き合って進み、両軍関係を両国関係の重要な安定化要因とすべく共に努力することを希望する」と強調した。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年6月27日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn