ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が増加を続けている。日本政府は2020年の訪日観光客をのべ4千万人と見込む。日本では20年に東京五輪が開催されるため、同年には大勢の外国人観光客が観戦や観光で日本を訪れ、日本各地ではホテルが供給不足になる懸念がある。
こうした背景の下、日本では6月15日に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行された。新法に基づき、外国人観光客は料金を支払えば、日本の一般住宅に滞在でき、日本の文化や伝統や風俗習慣を身近に感じたり、至近距離で体験したりできるようになった。だが日本メディアは、家主、周辺の住民、利用者にはそれぞれ異なった要求があり、民泊新法が実施されたことで日本の民泊事情は困った状況に追いやられると指摘した。
これまで日本の人々が民泊宿泊事業を行おうとすれば、「旅館業法」の規定する「簡易宿所営業の許可」を取得するか、国家戦略特別区に指定された区域で地方自治体の認可を受けるかしなければならなかった。新法の施行後は、都道府県に届出をすれば民泊サービスを提供できるようになった。
京都に住む末光正忠さん(72)はこれまで賃貸住宅を経営してきたが、新法の施行初日、満面の笑みと共に届出番号などが記された民泊標識を建物の入り口に掲げた。末光さんによれば、「体の丈夫な高齢者に民泊事業はぴったり。副収入が入る上、泊まっている外国人観光客と交流もできる。日々の暮らしに大いに新鮮さをもたらしてくれる」という。
だが新法施行を喜ぶ人もいれば懸念する人もいる。データをみると、新法の実施によりこれまで民泊事業を手がけてきた人やこれから手がけようとしてきた人で泣く泣く事業をあきらめた人もいるという。今年春に民泊仲介サイトのAirbnbが日本で民泊施設約6万戸を調査したところ、6月8日までに新法施行に先立って届出を済ませた施設は2707戸にとどまった。民泊の発展は挫折しかかっている。新法では施設1戸あたりの年間提供日数を180日までと規定するほか、地方自治体の多くがより厳しい条例を打ち出したからだ。
たとえば東京都目黒区は日曜日午後0時から金曜日午前12時までの週5日間は住宅宿泊事業を実施できないと定め、全国で最も厳しい条例とされている。同区関連部門の責任者は、「なによりも優先的に考慮したのは住民のみなさんが静かな居住環境を維持したいと考えていること」と説明した。また東京に複数のマンションを所有する日本人は民泊事業に関心があったが、取材に対し、「民泊事業をやるという考えは捨てざるを得なかった。周辺の住民に説明しなければならないし、民泊禁止のマンションがどんどん増えているからだ」と述べた。
現在、民泊新法を含む厳格な法律や条令がいろいろありながら、日本には多くの違法な民泊施設がある。地方自治体は各種措置を執って違法施設の取り締まりに積極的に乗り出している。試算によれば、大阪市には違法な民泊施設が約1万戸あり、このため市は退職した元警察官50人を雇用して「大阪市違法民泊撲滅チーム」を結成し、オーナーを訪問して、違法施設の取り締まりを進めている。東京都渋谷区は今年3月に苦情ホットラインを開通し、住民から提供された情報に基づいて区が訪問調査を行えるようにし、取り締まりを進める。日本ではここ数年、民泊関連のトラブルが増加を続けている。日本の国民生活センターは最近、「民泊新法に基づいて地方地自体に届出をした合法的な民泊施設であっても、一定の品質が保証されたサービスを提供できるとは限らない。民泊を利用しようとする人は警戒感をもち、よくよく注意しなくてはならない」と注意を呼びかけた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年6月28日
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