それだけではない。米国の今回の振る舞いは一部の米国企業に製造ラインの海外移転を余儀なくさせるとみられる。米国の有名バイクメーカーのハーレーダビッドソンは生産拠点を海外に移転すると発表した。米最大の釘メーカーのミッドコンチネントネイル社は、「トランプ政権が鉄鋼製品への関税を免除しないなら、うちは操業を停止するかメキシコに移転するしかなくなる」と述べた。また50年以上の歴史がある楽器メーカーのモーグ・ミュージックは、米国からの「逃避」を検討中であると発表した。同社の社員と顧客は州議会議員に連名で送った書簡の中で、同社が国内と海外での部品調達のバランス維持にかねてより努力してきたこと、米国のサプライヤーからプリント基板を購入すると、海外産より価格は30%ほど高くなることを訴えた。だが米国で買うにしろ、海外で買うにしろ、プリント基板の部品はほとんどが中国製だ。
「ニューヨーク・タイムズ」によれば、価格という点で米国の消費者に最も影響を及ぼすのはコンピューターとソファだという。コンピューターもソファも新たに購入すれば、ほとんどの米国人にとっては大きな出費だ。10%の関税が上乗せされれば、多くの消費者はより安い商品を探すか、買い控えをするとみられる。店側が利益を減らして関税による損失を埋めるとも考えられない。しかし米国の消費者に他の選択肢はなく、上乗せされた関税の分も代金を支払うしかない。
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が16日に伝えたところでは、ボーイング社の最新の予測によると、今後20年で世界の商用機ニーズは4万3千機増加し、価格にして7兆ドルに迫るという。昨年の予測の4万1千機を上回り、このうち7200機は中国に引き渡されるという。英国紙「フィナンシャル・タイムズ」によれば、ボーイング社は水面下で積極的にはたらきかけ、米中貿易戦争がこれ以上エスカレートしないようにしている。米国最大の輸出企業である同社もリスクに直面する可能性があるからだという。
コーネル大学のアイスワルド・プルサット教授(専門は貿易政策。ブルッキングス研究所シニア研究員)は、「世界最大の2つのエコノミーの間で発生した貿易摩擦は、両国間の貿易・投資の流動性拡大の動きをいきなり断ち切ってしまう可能性があると同時に、両国企業が生命線とする複雑なグローバル供給チェーンを混乱させる可能性もある。輸出市場が閉鎖されれば、中間投資が高騰し、供給チェーンが破壊され、米国は多くの経済分野で直接的かつ痛みを伴った苦い果実を味わうことになる。ますます確かなことは、トランプ大統領の過激な貿易措置は米国経済の利益を促進しないばかりでなく、貿易パートナーの報復措置を招き、最終的に大統領が支援するはずだった米国の労働者と企業に損害を与えるだろうということだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年7月18日
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