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日本語スピーチ大会に参加しない学生たち 日本語学習者の意識変化 (3)

人民網日本語版 2018年11月27日14:42

つまり、学生は日本語を習得しても多くが日系企業に就職できるわけではない上、日系企業の賃金水準は相対的に低下し、通訳や翻訳はAIの登場で先行き不透明なので、日本語をマスターすることだけに力を注ぐのはリスクが高い。日本語専攻を選んだにせよ、選ばざるを得なかったにせよ、急速に変化する時代に合わせて自らを変化せねば、卒業後すぐに困難に直面することになるので、大学時代に学ぶ内容も、日本語に+αせねばならない。近年、ダブルディグリーで、学部在学中に会計や法学等の日本語以外の専門学位を取得したり、日本語学科を卒業して、欧米の大学院に進学したりする学生が増加しているのもそのためだろう。英語、IT能力はもとより、更に、将来の展望に合わせて各自が選び学ぶ必要もある。今の学生を批判するどころか、「本当に大変だなぁ」と、現在の学生たちに頭が下がる。

そんな中、現在、教員も把握しきれない程数多くの各種日本語関係の大会が中国全土・各地区で開催されており、大会の権威は低下してきている。都市部では一般家庭も豊かになってきており、何も、日本語スピーチ大会などに出て入賞しなくても、電子辞書も買えるし、日本にも自由に旅行に行ける。留学するにしても、交換留学・学費免除で二流三流の大学に行くくらいなら、一流大学へ自費で留学するという時代になってきている。こういった背景の下、日本語のスピーチ・作文等の大会参加には、意義や価値を見出せなくなってきているのであろう。

社会や学生がこのように大きく変化してきているが、各種の日本語大会は相も変わらない。お題も過去数十年「日中友好の未来」的なものを繰り返している。そろそろ大会のあり方を見直す時期に来ているのかもしれない。いっそお題も「新時代における日本語スピーチ大会の在り方」とか「日本語専攻の未来」「日本語学科はどのように生き残るか」等として、若い学生のアイデアに虚心に耳を傾けるというのはどうであろうか。(文・北京第二外国語大学副教授 津田量)

「人民網日本語版」2018年11月27日


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