160日の期間を経て、30件の科学調査任務、15件の後方支援任務を完了した中国第30次南極科学観測隊は15日、極地観測船「雪竜号」に乗り帰国した。雪竜号は今回の調査において、南極大陸を一周する航行・調査を初めて実現し、航行距離が3万2000海里に達した。また南緯75度20分の海域で大洋科学調査を実施し、中国の船舶が到達した最も南の緯度となった。科技日報が伝えた。
今回の科学調査には、多くの注目点があった。南極で中国4カ所目の科学調査基地「泰山基地」を建設し、中国の南極観測の幅と奥行を広げた。南極グローブ山脈の調査において、氷のレーダー探査、自然地震観測、生態環境、アイスドームの進退、古代気候などの調査を実施し、10台の自然地震観測機器を設置した。また南極で583個の隕石を収集し、中国の保有する南極の隕石の数が1万2035個に達した。南極半島沖およびプリッツ湾沖の大洋観測では、初めて氷山の衝突を防ぐ構造のブイを投入した。南極半島海域で初めて海洋乱流観測プロジェクトを実施したほか、初めてロス海で8本の磁気誘導線を測定し、初めて南極半島でウミグモなどの生物サンプルを収集した。地質柱状サンプルの長さが記録を塗り替えた。
中国は第12次五カ年計画期間(2011−2015年)に、南極ビクトリアランド地域に、科学調査基地を新設する。今回の観測によって、基地新設前の地質調査、実測、気象観測所の設置、基地周辺の1:2000の地質マッピングなどの準備作業が完了し、今後の基地建設に向け詳細かつ確かな科学的根拠を提供した。
観測隊は南極大陸を一周する航行中、南極で立ち往生していたロシアの砕氷船「アカデミック・ショカリスキー号」の52人の乗客を救助した。また有利なチャンスを見計らい、自らの力で厚い海氷を突破し、計画されていた任務をほぼ完了した。さらに豪パース港での停泊中には、マレーシアMH370便の残骸の捜索に最も早く参加し、専用の艦船が到着するまで中国の指揮船となり、オーストラリア海上捜索センターと現場で捜索活動に当たっている航空機との連絡を担当した。荒波や補給不足などの困難を乗り越え、質と量を維持しながら連絡・指揮を完了し、捜索活動を順調に進めた。
中国第30次南極科学観測隊の隊員数は257人に達し、そのうち32人は越冬隊として南極の長城基地・中山基地に留まり、長い南極の冬の観測を開始した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年4月16日