宮崎監督が引退したことに端を発する経営難も顕著だ。例えば、宮崎監督の「風立ちぬ」は興行収入116億円を記録したが、高畑監督の14年ぶりとなる作品「かぐや姫の物語」(13年)は同51億円にとどまった。宮崎監督と高畑監督の「遺産」で経営を維持しようとの意図も崩れ去ったのだ。05年、スタジオジブリは徳間書店から独立したため、毎年100億円の利益を出さなければ会社を維持できなくなった。米林監督や宮崎吾郎監督も、ヒット作を出しているが、宮崎監督の引退を埋めるほどには到底至っていない。
宮崎監督が引退を発表した時点で、ジブリが「再構築」を発表しなかったのは、米林監督の「思い出のマーニー」が今年7月に公開されることを念頭に置いていたからだろう。そして、巨額の経費をまかなうことができない経営状態であるため、鈴木氏がテレビ番組で「再構築」を伝えることにしたのだろう。スタジオジブリの経営陣は、宮崎監督を中心とする製作チームを解散することで、毎年20億円と言われる人件費の削減につなげるため、早くから再構築の準備をしてきたに違いない。同対策が、米林監督や宮崎吾郎監督の製作に影響することもない。ほとんどの会社と同じく、作品ごとにチームを立ち上げるという方法があるからだ。スタジオジブリがスタッフの社員化や固定給制度の導入、新人定期採用とその育成を打ち出したのは、「魔女の宅急便」(1989年) がヒットした後であることを忘れてはならない。
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