中国政府の関連部門はこのほど、マイクロソフト、クアルコムなどの外資系企業に独占禁止法違反の疑いがあるとして調査を実施したが、海外メディアに過度に解釈された。中国商務部(省)の沈丹陽報道官は、「法に基づき独占の疑いがある行為の調査を行うことは、公平な競争を促し、消費者権益を守るための重要な措置だ。中国では、中国企業であれ外資系企業であれ、法律に違反すれば制裁を受け、相応の法的責任を負わなければならない。中国が独占禁止法を施行してから6年になるが、独占禁止法の調査を受けた企業には中国企業も外資系企業も含まれる。すべての企業が平等であり、外資叩きは存在しない」と述べた。人民日報海外版が伝えた。
◆外資系大手、独禁法違反の疑い
中国政府の関連部門が、外資系企業に対する独占禁止法の調査を実施したという情報が、7月から後を絶たない。クアルコム、マイクロソフト、メルセデス・ベンツ、BMWなど、通信、テクノロジー、自動車業界で覇を唱える外資系企業が、独禁法違反の渦中に置かれている。
中国国家工商行政管理総局は7月28日、マイクロソフト(中国)有限公司、および上海、広州、成都の子会社に対して、独占禁止法違反の抜き打ち調査を実施し、一連の調査の幕を開いた。同局は8月6日、マイクロソフトの調査を実施すると再発表した。
上海発展改革委員会と湖北省物価局の、クライスラーとアウディに対する調査の結果が8月6日に発表された。両社に独禁法違反の行為があったことが確認され、近日中に罰金の支払いが命じられる見通しだ。江蘇省物価局はそれより先に、蘇州、無錫などの5都市のメルセデス・ベンツのディーラーに対して独禁法違反調査を実施した。違反行為があるかについては、現在も調査中だ。国家発展改革委員会は法に基づき、自動車部品およびベアリング(軸受)価格を不当に操作した日本12社に対して処罰を実施した。
国家発展改革委員会は今年2月、携帯電話用チップの先駆者であるクアルコムに対して、価格操作の調査を実施中と初めて明らかにした。調査は現在まで9カ月間に渡り続けられている。クアルコムは中国で、無線通信の独占的な地位を濫用した疑いがあるが、今後裏付けが取られる可能性がある。
◆外資の超国民待遇が終了へ
一連の調査により、外資系大手のさまざまな独占行為が表面化している。各社は資金・技術・ルート・知的財産権などの強みにより市場で支配的な地位を占め、この地位を利用して公平な競争に反する行為(差別的な高価格、セット販売、取引の拒否、共同ボイコットなど)をしている。国産携帯メーカーを苦しめているクアルコムのライセンス料、マイクロソフトの自社OSをセットにしたパソコンの強制売買、自動車価格の不当な吊り上げと自動車部品価格の高騰などの現象は、今回の独占禁止の嵐の中で、調査の重点となっている。