欧州最大手の自動車メーカー、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は7月31日、4-6月期(第2四半期)の決算を発表し、売上高は509億8000万ユーロ(約6兆9842億円)だった。一方、トヨタも今月5日に同期の決算を発表し、売上高は6兆3906億円だった。売上高ではVWが上回ったことになる。しかし、純利益はVWが31億9000万ユーロ(約4400億円)、トヨタが5877億円と、後者が大きく上回った。トヨタの経営の質が全面的な勝利を収めたのだ。現在、同2社の熾烈な競争が世界で注目されている。中国経済網が報じた。
VWは中国に依存
同決算結果に、中国では目を丸めている人も少なくないだろう。なぜなら、30年前からVWの自動車が中国の至る所で走っていたからだ。一方、トヨタ車は「外車」として人気を集めた時期もあるが、すでに「過去の話」で、中国におけるVWの成功とは全く比にならないからだ。今年上半期、VWの中国市場における販売台数は、前年同期比18%増の181万台だった。一方のトヨタは同46万5900台と、VWの4分の1だ。
しかし、世界に目を向けると、2社の立場は逆転する。統計によると、2014年上半期、トヨタの世界における販売台数は前年同期比3.8%増の509万7千万台だったのに対し、VWは同5.9%増の497万1千万台と、12万台以上の差があった。
世界中で合理的なビジネスをするトヨタ
販売台数の差が、純利益に差が出た主な原因かもしれない。しかし、原因はそれだけではない。例えば、トヨタの「グローバル化」の程度はVWに勝っている。トヨタが世界各地に合理的な進出をしているのに対し、VWは中国市場に過度に依存している。
また、1台当たりの収益力もトヨタが勝っている。米国自動車研究センター の調査結果によると、13年、自動車メーカーのうち、1台当たりの収益力が最も高かったのがトヨタだった。統計によると、トヨタの1台当たりの利益は1588ユーロ(約21万7000円)。一方のVWは616ユーロ(約8万4000円)だった。また、VW傘下のアウディやポルシェの収益力も低い。
そのほか、VWのブランド管理もトヨタに劣る。VWは、傘下に12のブランドを抱えているが、その全ての販売台数を合わせても、トヨタの販売台に及ばない。また、VW傘下の各ブランドの車種が互いを補い合っているというわけではなく、競争も存在している。それが、VWがトヨタに及ばない理由かもしれない。
「リーン生産方式」と呼ばれるトヨタの生産方式は世界中で認められ、VWを含む多くの企業が研究している。一方、VWは長年、おおざっぱな企業経営をしていただけでなく、権威の集中も問題になった。
VWは中国において、胸の張れる業績を残しており、中国の人々はVWの変化や革新を目にしてきたが、もし世界一の自動車メーカーになりたいのなら、販売台数の点だけでなく、さまざまな面で課題を残している。もちろん、トヨタにも、度重なるリコール問題などの課題がある。中国市場での消費者の信頼を強化しなければ、世界における業績も安定しないだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年8月15日