復旦大学付属眼科・耳鼻喉科病院の孫興懐教授が率いる緑内障遺伝学研究チームは、四川省人民病院、香港中文大学、シンガポール国立眼科センターなどと協力し、約3年間の研究と長時間・多方面の論証を経て、原発開放隅角緑内症の発症と体内のABCA1遺伝子の変異の間に高い関連性があることを初めて発見した。この成果は、原発開放隅角緑内症の治療に新たな方針を示した。関連する論文は世界的に有名な学術誌「ネイチャージェネティクス」に掲載され、世界の眼科専門家から注目を集めた。中国青年報が伝えた。
同論文の筆頭著者である、復旦大学付属眼科・耳鼻喉科病院の主治医の陳宇虹氏は、「孫教授と四川省人民病院の楊正林教授の指導のもと、同研究は4段階に分けて進められた。2906人の原発開放隅角緑内症の患者、5974人の健常者が被験者となった。第1段階では1007人の原発開放隅角緑内症の患者と1009人の眼病のない人を選び、被験者全員の87万261の遺伝マーカーの変異の頻度を比較した。そのうち22のマーカーで、患者と健常者の間に大きな違いが見られた。第2段階ではシンガポールの525人の患者と912人の健常者を被験者とし、第3段階では615人の患者と1325人の健常者、第4段階では759人の患者と2728人の健常者を選び、類似する方法により検証を繰り返した。これにより、7つの遺伝マーカーの変異が、原発開放隅角緑内症と密接に関連していることが明らかになった」と説明した。
さらに研究を進めた結果、上述した7つの遺伝マーカーのうち、4つがABCA1遺伝子の付近にあることが分かった。また同遺伝子の変異と、原発開放隅角緑内症の最も重要かつ一般的な危険要素である高眼圧症の表現型が、密接に関連していることが初めて明らかになった。
ABCA1遺伝子は誰もが持っている遺伝子だ。同遺伝子は細胞膜に関連するタンパク質として、各種物質の細胞内外の移動に参与しており、人体の生理機能の正常な運行を維持する機能を持つ。同遺伝子の変異により、細胞機能に乱れが生じ、疾病を引き起こす。
同研究は同類の疾病に関する研究のうち、アジア人の被験者が最多の研究で、世界の空白を埋めた。これは原発開放隅角緑内症の早期診断や、薬物治療の新たな標的などにとって、重要な意義を持つ。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年10月16日