真冬の厳しい寒さが続く中、中国各地の酪農家も厳しい季節を迎えている。山東・河北・内蒙古などでは、酪農家による生乳破棄や乳牛殺処分などの事件が広まっている。生乳販売の困難の克服を伝えるため、農業部(農業省)は緊急通達を行い、生乳の買い上げを保証するために加工企業と連携してあらゆる手段を尽くした。大規模な生乳廃棄や乳牛殺処分はこれまでにも発生したことはあるが、前回はメラミン事件を背景とした事件だった。5年ぶりに再現されたこの情景は中国の乳製品産業に深刻な疑問を突きつけている。問題は飼育過剰にあるのか、それとも経営体制にあるのか。証券日報が伝えた。
▽酪農家:コストに追いつかない原乳価格
山東省濰坊市のある酪農家は、「生乳買い取り企業は昨年10月1日、『計画内』と『計画外』を区別する価格制度を始め、一部の買い取りを取りやめた。この状況が長引けば、乳牛を殺処分して廃業するしかなくなる」と苦境を語る。
中国では年末から年始にかけて、酪農家による生乳の廃棄や乳牛の殺処分が各地で行われた。取材で明らかになったのは、多くの酪農家が、加工企業による生乳の買い取り拒否や買い取り量の削減に苦しんでいる実態だった。
濰坊市のある県政府所在地では、生乳廃棄や乳牛殺処分が問題となった後、加工企業は関連部門の指導の下、酪農家からの原乳の買い取りの拒否・制限ができなくなり、買い取り所の閉鎖も簡単にはできなくなった。だが山東省のその他の地域では、状況は楽観を許さない。
濰坊市昌楽県では現在も、企業が原乳の買い取りを制限しているという。酪農家は目下、企業が提示する価格を受け入れる以外の方法はない。
酪農家によると、生乳不足が問題となった2013年には、乳製品加工企業は規定価格通りの買い取りを行い、「計画内」と「計画外」の区別はなかった。だが昨年になると、9月(生産量の最も少ない月)の生産量の平均値で基準生産量を求め、この量の90%は「計画内」として1kg当たり3.9元(1元は約19円)、これ以上の分は「計画外」として1kg 当たり1.5元で買い取る制度が持ち込まれた。だが乳牛一頭の一日のコストは60元から70元で、1kg1.5元の売り値では損失が出てしまう。