国務院発展研究センターの劉世錦・副センター長も、「中国の現在の物価低迷の原因は成熟エコノミーのデフレの原因とは大きく異なる」と指摘する。中国市場の流動性不足は、ここ30年余りの重化学工業の急速な発展によってもたらされた深刻な生産力過剰によって引き起こされたものと考えられる。
王氏は、「消費者サイドでは、市場の需要は以前と比べれば低迷しているものの、消費は転換期にある。飲食業における高級志向の消費は不景気だが、大衆消費は一層さかんに行われている。不動産取引の熱は引いたが、家賃は上がっている」と分析する。
さらに小規模・零細企業への緩和政策の実施、金融業改革の加速、大衆による起業・革新の奨励、「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)などの重大戦略の推進などの措置は、メーカーサイドの回復を安定化・加速し、中国の経済成長の土台を固めるものとなる。
通貨供給から見ると、昨年、外国為替資金残高が前年同期比2兆1200億元(約40兆6800億円)減少した状況の下、広義のマネーサプライ(M2)は前年同期比12.2%増加した。しかも、経済成長率の目標が引き下げられたということを背景に、今年の政府活動報告で確定されたM2の成長目標は12%前後とされている。
王氏は、転換時期に入った中国経済は今後も調整が進み、弱含みの回復の動揺から安定した状態を取り戻し、「来年には底を打って回復に向かうものと見られる」との見方を示した。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年3月27日