日本の文部科学省は6日、来年採用となる中学校教科書の検定結果を公表した。一部の教科書は歴史認識問題の記述に後退が見られる。今回の教科書検定は、歴史問題について政府の立場を教えるようにとの日本政府の要求に基づいて行われたもので、「新しい歴史教科書をつくる会」を代表とする日本の右翼団体が、次世代に右翼思想を植え付けて歴史を覆い隠しねじ曲げようとしていることを示している。
教科書はいかに政治勢力によって利用されようとしているのか。批判を浴びている「つくる会」は日本の戦争の罪をいかに洗い流そうとしているのか。新華社の日本駐在記者・藍建中氏に聞いた。
▽「政府の立場」
日本の歴史教科書は、各出版社が編集を自ら申請できるが、出版・販売には文部科学省の検定委員会の検定の通過が必要となる。編集者側はこの検定委員会の意見に従わなければならず、さもなければ書籍として出版することはできない。
文部科学省は2014年1月、教科書検定基準を修正し、「通説的な見解がない」歴史や領土の問題については政府の見解を記述することを求めた。
新たな検定基準の要点は、▽「未確定な時事的事象」を記述する際に「特定の事柄を強調し過ぎて」いないこと、▽「通説的な見解がない数字」などの事項について記述する場合には、「通説的な見解がない」ことが明示されていること、▽「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解」や「最高裁判所の判例」に基づいた記述をしなければならないこと――などである。
藍氏によると、これらの要求は、今回検定を受けた歴史と公民の教科書にすでに反映されている。「読売新聞」の今回の教科書検定に対する最新の報道によると、ある歴史教科書は検定申請段階で、関東大震災時の日本の軍隊・警察による朝鮮人殺害の状況を「警察や軍隊、自警団が殺害した朝鮮人の数は数千名に達した」と記述していたが、検定を受けて「自警団によって殺害された朝鮮人について当時の司法省は230名余りと発表した。軍隊や警察によって殺害されたものや司法省の報告に記載のない地域の虐殺を含めるとその数は数千人になるとも言われるが、人数については通説はない」と修正した。