WHO担当者は9日、「皮を剥く」提言を行った背景について、「しっかり洗っても、野菜や果物の表皮に残っている細菌や化学物質を完全に除去できない場合があるため、食べるときに皮を剥くことには意義がある。中国ではこの数十年、食品の生産過程で、化学合成剤や殺虫剤の使用量が増加の一途を辿ってきた。使用量が規定をはるかに超過している証拠もある。このような状況によって、果物や野菜の表皮に残留農薬が含まれている可能性が高まり、これらの残留農薬が消費者の健康に悪影響をもたらす結果となっている」と説明した。
筆者がリンゴの残留農薬に関する論文をいくつかあたった。2014年、「中国農業科学」誌上に、国家中央級科学研究プロジェクトの成果発表「リンゴ残留農薬のリスク評価」が掲載された。これによると、課題チームがサンプルとして集めたリンゴ200個の品質を測定したところ、89.5%から残留農薬が検出され、検出された農薬の種類は計26種類(高度の毒性3種、中度の毒性9種、低度の毒性14種)に及んだ。ただし、基準超過率は、0.5%と極めて低かった。
このほか、「中国とEU、リンゴ残留農薬規制基準概況」と題する論文では、リンゴの残留農薬として規制の対象となっている農薬は、中国ではわずか66種類だったのに対し、EUでは389種類に上った。中国で規制対象となっている農薬66種のうち、上限値がEUの基準と一致していたのは13種類だけで、半数以上はEUの規定より緩く、両者の上限値には大きなギャップがあった。たとえば、アセフェートの場合、EUの上限値は1キログラム当たり0.02ミリグラムとされているのに対し、中国の上限値は0.5ミリグラムと、EUの25倍だった。
WHOは、国際連合の機関の中でも、最も権威ある機関のひとつと認識されている。SARSやエボラ出血熱など、全世界を巻き込む健康上の安全に関わる重要問題が生じると、WHOが世界全体を指揮して問題に対応する。毎年4月7日の「世界保健デー」にあたり、WHOは、全人類の健康増進をめざし、「妊産婦の死亡率低減」や「ポリオ撲滅」などの行動計画を、その年度のテーマと定めている。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年4月14日