イタリア・トリノにあるアドバンストニューロモデュレーショングループの責任者、外科医のセルジオ・カナベーロ氏は2013年7月、「HEAVEN/GEMINI」と呼ばれる頭部移植手術のプロジェクトを発表した。このほど、ロシアのコンピュータ科学専門家、ヴァレリー・スピリドノフ氏(30)が初の志願者になり、世界初の人の頭部移植手術が実現に一歩近づいた。
◆「もちろん怖い」
スピリドノフ氏は幼い頃から脊髄性筋萎縮症を患っている。この遺伝的な筋萎縮状態は、脊髄前角細胞の神経原性の変質によって生じる。患者は左右対称性の障害になり、歩行ができなくなるばかりか、通常は座ることも不可能だ。
スピリドノフ氏は、間もなく受けることになる手術が怖いと語った。「しかし多くの選択肢は残されていない。このチャンスを逃せば、私の人生は暗くなる。私の健康状況は日々悪化しているからだ」。
スピリドノフ氏は取材に対し、いつ手術を受けるかについては明言しなかったが、「早ければ来年」と述べた。