これだけでは済まなかった。本来は、李さんと過ごしていた時間さえも、「株価チャートの十字線」、「株の売買」、「ストキャスティクス(株価のテクニカル分析において使用される指標)」などに奪われてしまった。夫は毎日、帰宅すると、ソファーを占領して携帯で株式情報をチェックしている。その様子は大変楽しそうで、株に関する議論に加わることもある。そんな風にして、たいてい真夜中までソファーの上で過ごす。李さんは、夜中にトイレに起きるたびに、夫がソファーの上で寝てしまっているのを見つける。
株のためにベッドで寝ることさえしない夫。悲しみにくれる李さんは、夫と大喧嘩し、姑に何度もやんわり訴えた。だが、夫はその度に、「わかった。これからは改める」と答えるものの、帰宅するとやはりソファーに直行し、株と生活を共にしている。李さんは、微信(WeChat)のモーメンツで愚痴をこぼしたが、同情を得られるどころか、口の悪い仲間に「株未亡人」というあだ名までつけられた。
李さんのような境遇に陥った人は少なくない。ネットで探してみると、「旦那が株におぼれている。一体どうしたらいいのか」「株のことしか頭にない夫と、本気で離婚したい」といったSOSを求める投稿を簡単に見つけることができる。
武漢科技大学付属天佑病院精神科の胡一文・科長は、「これは、人間の利益に対する本能的な追求の表れであり、一種の趣味でもある。だが、株に熱中しすぎると、盲目的になって周りが見えなくなる。李さん夫妻の場合は、夫婦のコミュニケーションを強め、共通の趣味を見つけ、家庭や夫婦仲を大切にするよう努力すれば、夫婦仲も改善するだろう」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年4月23日