近藤氏によると、細菌や毒ガスなどの生物兵器を使った戦いは、それほど資金がかからないにもかかわらず、戦闘機などを使った戦いよりも殺傷力、致死率などが高い。そのため、自然資源が少ない日本にとっては魅力があった。当時、国際社会では細菌兵器の使用や毒ガス戦が禁じられていたものの、日本がそれを順守することはなかった。
近藤氏は、「生物兵器の研究は非常に危険。その乱用を阻止できるのは倫理。倫理的な制限を受けることができなければ、731部隊が行った細菌戦が再び起きてしまうだろう。我々は、審査機関を設置し、関連の研究が倫理に沿うものかを厳しく監督しなければならない。過去の歴史を検証することこそが、倫理体制を構築するための重要な材料となる」と指摘する。
細菌戦を十数年にわたって研究する過程で、近藤氏は、現在の日本社会に存在する学術的腐敗や、現在の医療ミスと戦時中の医学犯罪の原因は非常に似ていることなどを発見した。731部隊と軍医の間にも、論文や学術成果を競う姿勢が存在していたという。日本は当時の医学犯罪に対する歴史的検証を行ってこなかったため、今でも同様の犯罪が依然として存在しているという。
「どのような審査機構を構築するのか、効果的な審査をどのように展開するのかという問題の答えを得るには、過去の間違いを分析、検証しなければならない。『過去の事』と言い訳し、何もしないのではなく、当時の歴史に対する研究、検証を一から行い、日本はどうして間違った道を歩んだのかを知らなければならない。歴史検証の過程で、その答えが見つかる」と近藤氏。
近藤氏は最後に、「中国が最近、歴史資料の再発掘に力を入れているため、資料館に眠っていた資料が公開されるようになっている。日本が731部隊の資料を隠し続けるとすれば、自分の立場がいっそう受動的になってしまう」と指摘、「したことはしたと、日本は認めなければならない。歴史的事実を認めなければ、日中外交など、何も始まらない。日本はまず、歴史的事実を明らかにし、それを認めたうえで、外交活動を行わなければならない。これがすべての前提となる」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年4月27日