中国人民銀行(中央銀行)は今年3月に金利を引き下げ、4月に預金準備率を引き下げたのに続き、5月10日にも金利を0.25ポイント(p)引き下げることを明らかにした。このうち、金融機関の期間1年の貸出の基準金利は5.1%に引き下げ、期間1年の預金の基準金利は2.25%に引き下げる。これと同時に、金利の市場化改革の推進に合わせて、金融機関の預金金利の変動幅の範囲をこれまでの預金の基準金利の1.3倍から1.5倍に調整する。その他の預金、貸出の金利は相応に調整するという。
このたびの金利引き下げの理由について、人民銀関連部門の責任者は、「目下の国内経済は構造調整の歩みが加速しているが、外部需要は大きく変動し、中国経済は引き続き大きな下方圧力にさらされている。これと同時に、国内の物価水準は全体的に低く、実質金利は今なお歴史的にみた平均水準よりも高く、このことが金利ツールの持続的で適切な使用に可能性を与えることになった」と説明する。
また同責任者は、「預金金利の変動幅の範囲を改めて拡大することは、中国の預金金利の市場化改革におけるまた一つの重要な措置だ。これにより金融機関が自主的に金利を設定する可能性が広がっただけでなく、金融機関の金利を自ら設定する能力を鍛え、金融機関の経営モデルの転換の加速や金融サービス水準の向上を促進し、最終的な預金金利の上限の開放に向けてより強固な基礎固めをする上でプラスになる。また資金の価格が市場の需給関係をより正確に反映し、バランスの取れた水準と顧客の要望に合致した貯蓄構造の形成を推進し、資源の配置をより一層改善し、経済・金融の健全な発展を促進する上でプラスになる」と話す。
中央財経大学金融学院中国銀行業研究センターの郭田勇センター長は、「人民銀は半年間に2回の金利引き下げを行ったが、この間には物価水準が持続的に低下し、実質金利の水準が依然として高いことを考えると、今回の人民銀の金利引き下げは企業の資金調達コストの引き下げなのだとわかる。金利引き下げによる直接的な効果は資金調達コストが下がり、企業が投資を拡大できるようになり、生産・経営活動の積極性が高まり、消費市場や投資市場に対してメリットを形作るようになるということだ」と分析する。
商務部国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は、「国際収支バランスに変化が生じたことを背景として、金利引き下げも基準金利引き下げも狙いはデフレの出現を防止することにある。1990年代には、中国の貿易差額がアヘン戦争以来150年あまり続いた局面を根本的に転換し、それ以降はずっと貿易黒字国の地位を保っている。経常収支も資本収支もともに黒字だ。こうした変化がもたらした結果は、中国の基軸通貨を外国為替資金残高に投入することが基軸通貨の投資の主要ルートになったということだ。貿易増加率が30~40%にも達するという時代は過ぎ去った。世界の外貨準備の規模も縮小傾向にある。中国の大部分の基軸通貨の投資ルートのうち、外国為替資金残高が占める割合は下がるとみられ、金利引き下げと預金準備率引き下げはこの下がった部分を補うための措置であり、デフレを防ぐための措置だ」と述べる。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年5月11日