シンガポールの経済ビジネス紙「シンガポール・トゥディ」の12日付報道によると、アジアの2大国は、アジアでの影響力をさらに高める目的で、競争を激化させている。より有利な内容に改正された今回の中国の提案は、融資に関する条件だけにととまらず、「路線距離150キロメートルに8つの列車駅を建設する」「設計最高時速を350キロメートルとする」などの条件も盛り込まれた。一方、日本が提示した総距離180キロメートルの路線の設計最高時速は300キロメートルだ。中国側は、「9月着工が認められれば、2019年の全線開通が可能となる」としている。一方、日本側が提示した竣工予定は8年後。アンドゥリノフ・チャニアゴ国家開発企画大臣は、「中国側の新たな提案には、多くの変更点が見られ、より有利な条件となった」とコメントしている。
NHKの報道によると、中国が新たな条件を提示した後、日本政府はプロジェクト関連作業により馬力をかけている。毎日新聞は、「日本は数年前、官民の総力を挙げて新幹線のインドネシア輸出に尽くしてきた。その間ずっと、ライバルは現れず、独占状態だった。だが、昨年、インドネシアが不意に、中国側から提示された条件を検討していると公言し、日本は慌てふためいた。中国による宣戦布告に対し、日本側は、新幹線の省エネ率、耐震性、安全性の高さを必死でアピールしている」と報じた。
インドネシア高速鉄道受注をめぐる中日両国の争いがこれほどエスカレートした要因はどこにあるのだろうか?三井住友銀行アジアプロジェクトファイナンス部門の責任者は、ロイター通信の取材に対し、「今後数年間に、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ路線をはじめ、さまざまな高速鉄道プロジェクトが着工する見込みだ。このような状況から、日本と中国は、早期にスタートするプロジェクトを受注することで、市場の先駆者として優位に立とうと図っている」と指摘した。産経新聞は、「中国が進める『1ベルト、1ロード』発展計画において、高速鉄道の建設は重要な一環となっている。高速鉄道ネットワークを整備することで、物流の流れがスムーズになり、大きな経済効果が得られることはもちろん、中国の政治的影響力も高まるであろう。中国『高速鉄道外交』は、進めば進むほど、遠くに伸びることになる」と評している。
ジョコ大統領は11日、「評価については、融資条件、技術面でのフィージビリティスタディ、技術移転などの内容が検討される。さらには、建設中に、現地の建材がどれだけ使われるのか、長期にわたる協力計画が可能か否かについても、検討の対象となる」と指摘した。毎日新聞によると、インドネシアは、日中両国にそれぞれ強みがあるとの認識を持っている。さらに、あるインドネシアの官僚は、「両国がタイアップすれば、より素晴らしい条件が出てくるのではないか」とコメントした。
だが、日本のメディアは、12日にジョコ大統領が内閣改造を実施したことで、日本にとって不利となったという認識を持っている。産経新聞は、次の通り報じた。
ジョコ大統領の就任以来初の内閣改造で、ソフィアン・ジャリル経済調整相や知日派として知られるラフマット・ゴーベル貿易相ら経済関係閣僚6人が交代した。一方、中国の提案を推進しているリニ・スマルノ国営企業相は留任した。ゴーベル貿易相は日本の大学を卒業し、パナソニックのインドネシア合弁会社で働いた経験があり、日本の政界や財界に広い人脈を持ち、新幹線方式の採用を強くアピールしていた。今回の閣僚人事交代は、日本の外交にとっても大きな痛手となりそうだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年8月14日