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「安倍談話」は一体何を語ろうとしているのか (2)

週刊!深読み『ニッポン』第82回

人民網日本語版 2015年08月17日08:37

 それだけでなく「安倍談話」は、日本がアジア侵略戦争を起こした深層の内的要因に迫ることを完全に回避し、世界の大きな環境などの客観的な原因が日本を侵略戦争の道へと駆り立てたことを強調するものである。「安倍談話」はその始まりにおいて、日本がアジア侵略戦争を発動する前の世界史を大きなスケールで次のように描き出して見せる。百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が広がっていた。植民地支配の波はアジアにも押し寄せた。その危機感が日本にとって近代化の原動力となった。日本はアジアで最初に立憲政治を打ち立てた。日露戦争は植民地支配を打ち破った。第1次世界大戦後、悲惨な戦争を経て、新たな国際社会の潮流が生まれた。その後、世界恐慌が発生して日本経済は大きな打撃を受けた。外交的・経済的な行き詰まりに陥った日本は武力によって危機を解決しようとした。当時の日本国内の政治システムはその歯止めにならず、日本は世界の大勢を見失った。満州事変(中国で言われる「九一八事変」)後、日本は国際連盟から脱退し、次第に、国際秩序への挑戦者となっていき、進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行った――。「安倍談話」のこの下りを読むと、安倍首相が物事の本質を置き換え、因果を逆転させ、責任逃れをしているとの印象を持たざるを得ない。歴史の事実は、中国を侵略する戦争を日本が自ら画策したことを裏付けている。しかし「安倍談話」の中では、当時の世界の客観的な環境が、経済危機を解決するために戦争を発動することを日本に強いたということになっている。日本はこうして、戦争に突き進まざるを得なかった同情すべき国となり、侵略戦争の画策者であり発動者である日本の主体的な責任は完全に覆い隠されることとなる。「安倍談話」の施した入念なメーキャップは、日本がアジア侵略戦争を発動した罪の原因を雲散霧消させてしまうのである。

 「安倍談話」はさらに、「慰安婦問題」について、重きを避けて軽きに就くものであり、アジアの被害国の女性を深く傷つけた「慰安婦問題」を完全に回避するものとなっている。「安倍談話」はこう述べる。「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」。「名誉と尊厳を傷つけられた女性」とは一体どのような女性を指すのか。安倍首相はこれをはっきりと語ってはいない。この「女性」は、日本国内の女性を指し得るものでもあり、侵略を受けた国の数多くの無辜の被害女性を指し得るものでもあるが、安倍首相はこれが「慰安婦」を指すと言明してはいない。安倍首相はここで、「慰安婦問題」を故意に回避している。安倍首相は、「慰安婦問題」は非常に扱いづらく、日本と隣国との関係に深く影響する問題であることを知っている。さらに安倍首相自身と日本の右翼勢力は、慰安婦の強制徴用を日本が行ったことを明確に認めた「河野談話」の正当性を否定し続けてもいる。そこで「安倍談話」においては、「慰安婦問題」をできるだけうやむやにし、「慰安婦」の3文字を持ち出すことが避けられた。

 村山富市元首相が鋭く指摘するように、「安倍談話」は美辞麗句を並べ立てただけで、何を謝罪し、今後どうするかについて何ら説明していない。談話の焦点はぼけ、何を言わんとしているのか「さっぱりわからん」。まさにその通りである。「安倍談話」は、日本の右翼保守勢力の受け止めを十分に配慮し、日本を戦前のような「普通の国」にしようというこうした勢力の要求に合致するものであり、安保法案によって集団的自衛権を行使することを中心とした、安倍首相の推し進める「積極的平和主義」の理念を全力で鼓吹するものでしかない。

 「安倍談話」の真意については、安倍首相本人もはっきりと述べている。戦後70年談話の発表後の記者会見で、安倍首相は安保関連法案に触れ、「戦争を未然に防ぐための法案であり、政府は、国民の意見と批判にも真摯に耳を傾けながら、理解が深まるよう今後も努力を重ねる」と語った。

 安倍首相の言葉から読み取れるのは、「安倍談話」が、日本が今後、軍事力を大幅に行使できる国となるためのお膳立てとなる宣言にすぎない、ということである。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)(編集MA)

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 「人民網日本語版」2015年8月17日


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