■若者にとっても歴史は重要
倉岡さんは、「南京大虐殺」や「慰安婦」などの歴史問題は、中日関係において「しこり」のようになっていると感じている。「なぜ、『しこり』が、これほど長い時間存在し続けてきたのか?」。
国際貿易を専攻している大学院生である倉岡さんは、中国に来てから、少しずつ歴史を重視するようになった。もやもやしたものを取り払うために、倉岡さんは、さまざまな歴史書を買って読み、ネット上での関連の書き込みなどにも注目した。「実際には、私達のような若者にとっても、歴史はとても重要」と倉岡さん。
上海で、倉岡さんには、ゲームデザイナーや花屋の店長、レストランのコックなど、新しい日本人の友人もできた。職種は違うものの、みんな中国で、日本のメディアが報道しているのとは異なる中国を目にしている。「ここには、おいしい物も、市場も、仕事のチャンスもある。中国にいる時間を有意義に使って、中国人が関心を示しているもの、例えば歴史に対する思いなどを理解しなければならない」。
倉岡さんは、「日本も中国も、考え直す必要のある部分があるのでは」と指摘し、「日本は、中国の発展がもたらしてくれた、大きなチャンスに目を留めなければならない。日本人の生活は現在、中国と切っても切れない関係にある」と話す。中国の発展を正視し、サポートすれば、日本にとっても転換の機会となるはずだ。一方、「多くの日本人は、『歴史における日本』以外に、中国人には『今の日本』も見てほしいと思っている。例えば、日本の中国に対するODA(政府開発援助)は、両国関係を改善するための努力と見るべき」とも指摘する。