日本は人口の高齢化が深刻で、出生率が極めて低く、全国の人口は縮小し続けている。このことは日本経済の最大のリスクと考えられている。このこととインフレとを結びつけて考える人はあまりいない。日本国民の福利はとても分厚く、高齢者に対しては特に豊かな福利が与えられている。つまり高齢化しつつある日本は高齢者の福利に力を傾けることで、若者の子どもを産む願望を抑えつけているのである。老いてから養ってくれるものがあるなら、なぜ子どもを産む必要があるのか。経済はなかなか成長せず、若者はあちらへこちらへと走り回るのに疲れ、暗く疲れた世代が生まれてしまったのである。経済生活の変数は非常に複雑で、このような影響はなかなか数字の根拠を出しにくいが、内在的なロジックとしては非常に納得がいく。人口は、経済成長の最も重要な資源であり、出産は重要な資本蓄積である。この点ではインフレは、経済発展の最も重要な土台を削り落としているのである。
20世紀末から今日まで、欧米諸国と中国ではめまぐるしい情報革命が起こり、この革命が持続的な経済成長を支えた。若者の多い米国や中国、インドは、この経済革命のリーダーとなった。聡明な日本人ではあるが、この革命の波には乗り損ね、チャンスを逃した。日本はインターネット業界で世界的な大企業を生み出せておらず、その発展は韓国にも及ばない。これは日本人の若者が減少し、負担が重くなっていることと大きく関係している。現在の人口の状況を見ることは往々にして未来の経済発展を予見することを可能とする。出生率から見れば、日本はやはり依然として落とし穴を抜け出すことができていない。
経済発展に対するインフレのマイナス影響は、短期的に大きく現れるものがあるだけでなく、長期的にゆっくりと出てくるものもある。その道理は多くの経済学者の古くからの関心となってきた。ハイエクはかつて、インフレは、政府が紙幣を増刷し過ぎた時だけに起こるもので、それ以外にはあり得ないと指摘している。インフレの危害は、オーストリア学派の経済学者によってとうの昔に研究されていたのである。それにもかかわらず今日の日本政府が(そのほかの多くの国の政府も)デフレへの対決姿勢を崩さず、インフレを頑強に追求しているのには、ため息を禁じ得ない。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年9月15日