ある華人カップルが、南アフリカのケープタウンを観光中に現地のタクシーに乗った際、ある歌を聴いたことがないかとタクシー運転手に聞かれた。運転手が口ずさんだそのメロディーを聴いて、中国台湾の歌手、羅大佑の名曲「恋曲1990」だと、華人カップルはすぐ分かった。
歌の名前を教えてもらった運転手はとても感激し、その歌を歌っているうちに、ついには涙を流し始めた。運転手・アレンさんは、この歌を20年間も探し続けてきたという。アレンさんは子供の頃、実家に母親と住んでいた時、ある華人が経営する店に良く通っていた。その店の店主にもらったミュージックビデオで、アレンさんは「恋曲1990」を初めて聴いた。歌詞の意味が分からなくても、当時彼はこの歌を毎日のように聞いているうちに、歌のメロディーを覚えた。アレンさん一家はその後引越しをし、そのビデオは引越しで紛失してしまった。それからしばらくして、アレンさんの母親は他界した。母親のことを恋しく思うたび、その歌のメロディーがいつもアレンさんの脳裏に浮かんでくるという。
この歌をもう一度聴きたいと思っていたアレンさんは、故郷に戻って華人の店主を探したこともあったが、残念なことにその店はすでになくなっていた。それから20年間、アレンさんはアジア人らしき乗客に会うたびに、必ずその歌を口ずさみ、名前を訊ねてきた。「20年間ずっと探し続けてきたこの歌の名前が分かって、子ども時代に母と一緒に過ごした美しい思い出も甦ってきた」とアレンさんは語る。(編集:Yiqi)
「人民網日本語版」2015年9月22日