〇力を発揮し始めた新興産業
中国経済発展をけん引する「三頭立て馬車(輸出・投資・消費)」のうち、2頭が振るわない状況のもと、消費だけが孤軍奮闘している。今年第1-3四半期、社会消費財小売総額は前年同期比10.5%増、増加スピードは上半期比0.1ポイント上昇した。注意すべきは、オンライン消費の発展すう勢が力強く、小売総額は前年同期比36.2%増の2兆1510億元(約40兆5千億円)に達し、社会消費財小売総額全体の10%以上を占めたことだ。中国国際経済交流センター研究部の王軍・副部長は、「消費、特にオンライン消費は、実態経済を支える新たな存在となっている。このところ、投資や輸出の疲弊よってもたらされる経済低迷の圧力が持続的に高まっているが、消費はずっと安定的な情勢を保ち続けている。三頭立て馬車での消費の貢献度は5割を上回っている上、オンライン消費の成長率が40%に迫るという新業態は、内需拡大をリードする新たな動力となるに違いない」との見方を示した。
消費と同様、住民所得も大幅な増加が続いている。今年第1-3四半期、全国の住民1人当たり可処分所得は16367元(約30万8千円)、前年同期比実質7.7%増、ふたたびGDP成長率を上回った。
このうち都市部住民の一人当たり可処分所得は同6.8%、農民は同8.1%、それぞれ増加した。国家統計局の盛来運報道官は、「昨年以降、住民一人当たり可処分所得の成長率はGDP成長率を上回る傾向にある。これは、中国政府が恵民政策に力を入れ、一連の所得増促進政策・措置が着実に実施されていることと切り離しては考えられない。経済構造は着実に合理化されている」とコメントした。
中国国際経済交流センター研究部の王軍・副部長は、「これまで、中国経済の急成長は、環境破壊と自然資源の大規模開発という代償が伴うもので、一般庶民は決して、実質的な福利を得ることはなかった。今、経済成長が減速しているが、中国経済の質や収益性は改善されており、構造は合理化され、国民が大きな関心を抱いている大気の質や医療などの問題も、大幅な改善が得られた」とコメントした。銀河証券首席エコノミストの左小蕾氏は、「中国の国民一人当たりGDPは間もなく1万ドルの大台を突破し、GDP成長率は7%前後を維持、同時期の米国や日本をはるかに上回るであろう。また、従来のGDP至上主義の発展モデルや評価基準はすでに時代遅れであり、0.数パーセントの変動に一喜一憂することは、全くもってナンセンスだ」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年10月21日