一方、輸入食品価格の上昇が一般家庭を直撃し、中国では需要が低下する中、第3四半期(7-9月)の日本の民間消費と輸出は再び上昇傾向に転じた。第3四半期、日本のGDPの約6割を占める個人消費の成長率は0.5%で、2四半期ぶりにプラスに転化した。ただ第2四半期は0.6%のマイナス成長であったため、持ち直しの効果には限りがある。また9月には秋季の連休があったため、日本では飲食業やレジャー産業などの景気がいくらか高まった。
▽奏功しない緩和策
安倍政権の掲げる「アベノミクス」のシナリオは、まず企業が利益を上げるのを後押しし、それで業績が改善したら、企業が従業員の賃金を上げ、それによって民間消費が刺激され、日本経済の回復が導かれていく、というものだった。だが2四半期連続でのGDPマイナス成長は、日本がまだ経済低迷局面を脱していないことを示している。
日本政府はこれに対し、経済への楽観的な見通しを崩さず、経済データの一部は事前予想を下回ったが、雇用と収入の持ち直しは経済のゆるやかな経済回復の兆候であると主張している。
だが現四半期の日本の経済成長に期待が高まったとしても、今回のGDP報告は、安倍政権と日銀への圧力を高めるもので、新たな財政・金融刺激政策を打ち出すことを迫るものとなる可能性はある。
成長率低下にもかかわらず、日銀の黒田東彦総裁はこれまで、新たな刺激政策を打ち出す必要性はないとの立場を続けている。黒田総裁は、個人消費は増加しつつあり、今後は消費によって経済成長が引っ張られていくとの自信を示している。