ドアの外で真剣に耳を傾けていた大学生の柴田さんは、「インターネットで、今回がおそらく最後の証言集会であることを知り、絶対に来ようと思った。陳さんの証言を聞いて、生存者にはつらい記憶が残っていることが分かった。南京大虐殺の生存者の苦しい経験を聞いて、平和の大切さを再認識した。なにがあったとしても、戦争を起こしてはいけない。世界平和を本当に守りたいと思った。きれい事を言うだけでなく、日本人の一人ひとりが、南京大虐殺など、中国を侵略した旧日本軍が当時犯した残虐行為の歴史を知らなければならない。そのようにして初めて、平和な社会を構築できる」と語った。
陳さんが証言している際、真剣にメモを取っていた星野輝夫さん(75)は、「約70年前、日本の軍国主義の狂ったような行動が、陳さんを含む中国人に大きな傷をもたらした。日本の学校ではこの歴史を十分に教えておらず、メディアの関連の報道も少なくて、本当に残念。これらが原因で、多くの日本人はこの歴史を知らない。そして、日本の右翼勢力が南京大虐殺などの歴史を否定する温床を作ってしまっている。南京大虐殺を含む日本が中国で起こした罪を、日本人は知るべき。今日の証言集会は、非常に歴史的、現実的意義がある」と語った。
一橋大学名誉教授の田中宏氏 (78)は、ここ数十年、日本人に南京大虐殺などの歴史の事実を伝えることに力を注いできた。田中氏は取材に対して、日本で78年前に起きた南京大虐殺を知っている人は、どんどん少なくなっている。そして、知っている人も高齢になっている。今年でおそらく最後の証言集会。来年は、日本人にこの歴史を知ってもらう他の方法を考える。今年、『南京大虐殺』が『ユネスコ記憶遺産』に登録されたことは、非常に意義がある」との見方を示した。
日本で2回目の証言となった陳さんは、「私の気持ちは去年と同じ。日本人に『私たちには平和が必要で、戦争をしてはいけない』という思いを伝えるのが目的」と語った。
「人民網日本語版」2015年12月11日