南開大学日本研究院の劉雲・客員研究員は、「韓国製造業が中日の板挟みになった原因は多々ある」とした上で、次の2点を挙げた。
第一に、グローバル経済は今、深いレベルでの調整期にさしかかり、社会全体が供給過剰の状態にある。こうした背景の下、消費財を中心とする韓国の産業が、特に中国市場への依存度が高い消費財が大きな圧力に直面している。
第二に、韓国の輸出項目のうち半分以上が日本と重なり、円安が韓国輸出企業に極めて大きな圧力をもたらしている。これまで、韓国の競争力は主に東日本大震災とこれに続く放射能漏れ事件の後に顕在化し、日本の製造業に対して強い代替作用をもち、当時の企業の調達を大きく転換させた。だが円安により、こうした状況は再度転換している。
データによれば、過去2年間に、円は米ドルに対して33%値下がりし、韓国ウォンに対して35%値下がりした。今年初めには、ウォンの円に対するクロスレートは一度は100円=900ウォンを割り込みし、こうした状況がいまも続いている。ウォン・円の直接取引のレートはなく、それぞれのドルに対するレートで計算しているため、韓国銀行(中央銀行)ができる操作には限界がある。
当然のことだが、韓国製造業の不振には韓国自身による原因もある。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)アジア太平洋・グローバル戦略研究院の李天国補佐研究員は、「ここ数年、韓国は技術イノベーションの歩みが鈍化し、人件費が急速に上昇し、こうした原因を受けて製造業での相対的な強みが低下している。比較すると、中国はこれらの方面での進歩が早く、韓国との距離が絶えず縮まっている。中国の全体的な企業競争力は今でも韓国企業と一定の開きがあるが、経済発展情勢という大局について言えば、(韓国企業の)板挟み現象が起こりつつあることは否定できない」と話す。