さらに地震後には一部の産業で復興が進まずにいる。劉客員研究員は、「現在、日本政府は福島の農産品輸出を日本の農業外交の重点とし、さまざまなルートでアピールしている。福島も台湾地区やベトナムなどへの農産品輸出の再開に努力し、一部の農産品は現地で輸入が解禁された。また福島の水産品が日本国内で販売を再開し、順調に進展しており、経常収支はほぼ回復した。だが福島の農産品の生産量は徐々に回復してはいるが、海外への販売量は地震前の2割に落ち込んだ。
▽経済にも圧力
日本政府は16~20年を後期5カ年の「復興・創生期間」とし、約6兆円の予算を投入する計画を立てている。10年間の復興計画全体の予算は30兆円を超えることになる。
だが政府の財政負担が重いだけではない。間接的な影響はより広範囲に拡大する。日本は原発の運転停止で電力価格が上昇し、企業の製造コストが上昇し、一部の食品の輸出が影響を受け、石油の輸入コストが増大するなど、さまざまな影響がみられる。特に石油の輸入コスト増大は地震発生後の2年間に日本の貿易赤字を拡大させた最大の原因で、ここ2年ほどの国際原油価格の低下により状況はやっとのことで好転した。
劉客員研究員が指摘するように、この5年間の日本は国内の消費も働く人の実際の収入も状況が大きく変わることはなかった。「5年の間に、日本の安倍晋三首相がしたことははかないバブルを作りだし、未来の経済を借り越すことばかりだった。安倍首相は財政分野で一連の調整を行いはしたが、日本経済に決定的な影響を及ぼすことはできなかった」という。
劉客員研究員はさらに分析を進めて、「日本の国内総生産(GDP)データはマイナスで、ここから『アベノミクス』が、特に『第1の矢』である金融緩和政策の効果が長い発酵時間を経て谷間に落ち込んだことを物語る。未来のGDP成長率と金融政策との関係はもはやそれほど親密なものではない。これまでの量的緩和政策はすでに限界に達しており、これ以上規模を拡大することはできない。また一連の国が始めた『マイナス金利』モデルに習い、日本も預金準備率を超える部分の預金にマイナス金利を適用するとした。経済政策の誘導的役割は市場自身の調整的役割を超えており、これは実際には未来の経済政策を借り越すことにほかならない」と述べた。
だが日本経済には「学ぶべき点」もある。劉客員研究員は、「日本国内では企業の破産件数が減少し、経常収支が黒字になり、観光産業は好調だ。米国の利上げの後、円は避難通貨として大量の資金を引き寄せており、資本市場が全体として円の安定性を評価していることがわかる。また日本の預金準備残高は相対的に安定しており、1兆円を超える」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年3月14日