第三に、買収された企業は大きな損失を出してはいるものの、それぞれの産業や分野においてなお大量の特許、コア技術、グローバル産業チェーン、グローバル営業販売ネットワークを有しており、ブランドには高い価値がある。そして中国企業にはこうしたものが欠けている。日本の企業、技術、製品が中国化を経て、中国の一般家庭に普及することが期待される。
だが中国企業は日系家電メーカーの買収にまつわるリスクを過小評価してはならない。最大のリスクは買収された企業の自主再生能力に対する懸念だ。投資もシャープも100年の歴史をもつ日本の名門企業だが、経営の構想や発展モデルなどはすでに時代遅れとみられる。実際、日本企業は日本人の消費習慣にとらわれて世界の広大な消費ニーズを顧みない傾向があり、これは吸収・発展における欠点であり、致命的な欠陥であり、改めるのはたやすいことではない。
中国の有名企業が経済の高度成長を背景として発展してきたものであるのに対し、日本企業は経済の低迷や停滞の下で長期にわたり経営を行い、理念やモデルが中国企業とは異なる。グローバル運営の過程で、中国企業に進出先の風土に合わないというリスクがあることは明らかで、M&Aによりグローバルネットワークを調整し利益を上げることの難しさも並大抵ではない。
実際には、中国企業による日系企業や他国企業のM&Aのリスクはこれだけにとどまらない。現在、世界市場において資産価格は低下しており、今後は世界経済の回復、資金調達コストの上昇、競争に参加する主体の増加にともなって価格が上昇するとみられるが、無計画な「土豪」(金遣いが荒く品のない金持ち)式のM&Aを行ってはならない。これと同時に、世界での越境M&Aの経験を振り返ると、成功率は低く、統合は困難で、利益を上げるまでの周期が長いという固有の特徴がある。こうしたことが越境M&Aを企業の一大戦略とし、細心の配慮が必要なビジネスと決定づけている。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月20日