オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は早くて5月末から6月初めにも、フィリピンが2013年に申し立てた「南中国海問題の仲裁手続き」の裁定を下す。中国はこの仲裁手続きについて、受け入れず、参加しないとの立場を再三表明している。中国青年報が伝えた。
南中国海問題の仲裁手続きの裁定という重要な節目を控え、南中国海の混乱の主な推進者であり最大の受益者でもある米国が、南中国海情勢をより一層混乱させる「最高のチャンス」を逃すわけがない。米国のシンクタンク・米戦略国際問題研究所(CSIS)は今年2月、仲裁裁判所がマニラ当局に有利な裁定を下すだろうと予測した。また、アントニー・J・ブリンケン米国務副長官はベトナム訪問中の4月21日、中国は間もなく発表される仲裁手続きの裁定を尊重するべきとの見方を示した。
現在の南中国海地域の情勢を受け、中国外交部(外務省)の王毅部長(外相)は22日にカンボジアを訪問した際、「米国がこれまで強調してきた南中国海地域における航行の自由は、実際には影響を受けていない。南中国海のいわゆる『軍事化』も、中国が引き起こしたのではなく、某大国が当該地域の歴史問題の解決を言いがかりとし、本国の軍事戦略を実現するため便宜を図るためのものであり、これにより南中国地域の平和と安定に変化が生じた」と語った。
王部長は4月21日にブルネイ、22日にカンボジア、23日にラオスを訪問した。訪問期間中、王部長はブルネイのリム・ジョクセン(林玉成)首相府大臣兼第二外務貿易大臣、 カンボジアのプラック・ソコン外務国際協力部大臣、ラオスのトンルン・シースリット副首相兼外相と南中国海の情勢について意見を交換し、重要な共通認識に達した。
王部長とブルネイのリム・ジョクセン首相府大臣兼第二外務貿易大臣との共通認識において、中国側は「デュアル・トラック・アプローチ」による南中国海問題の解決を支持・提唱すると表明した。「デュアル・トラック・アプローチ」は国連憲章が提唱する、交渉と協議により係争を平和的に解決するという主旨に完全に合致し、南中国海問題を適切に解決する、最も現実的で実現性の高い方法だ。中国とブルネイは、干渉を排除し、困難を克服し、「デュアル・トラック・アプローチ」を断固として推進するべきであり、南沙諸島の関連係争は直接的な当事国の交渉と協議により適切に解決し、南中国海の平和と安定は中国とASEAN諸国が共に守るべきとの見方を示した。