目に見える現象から考えると、2つめの地ならしこそアップルが今回の投資を決めた真の理由だ。過去10年間のアップルの業績は驚異的で、これは主に携帯電話の普及によってもたらされたもの、とりわけ中国での携帯電話の普及によってもたらされたものだった。スマートフォンは中国で徐々に飽和状態に近づいており、アップルが取りうる最も賢明なやり方は、充実し、かつ中国人をよく理解したサービスによってこれまでの地位を維持することだ。たとえばアップルの地図サービスはよく批判にさらされるが、滴滴は到着時間予測、動態的価格調整、スマートサブメニュー、相乗りサービス、需給予測、動力調整、人の集中度を示すマップなどのコア事業で技術の飛躍的向上を遂げている。アップルが中国で展開し、思うような成果を上げていない決済サービスについては、滴滴の株主であるアリババ(阿里巴巴)や騰訊(テンセント)の支援を受けられる可能性がある。目下展開中の自動運転車でも、滴滴を通じて今後、中国市場のモバイル交通産業により効果的に切り込み、周辺産業を固めることができ、アップルの次の売上増加のエンジンになる可能性がある。
アップルにとって10億ドルは現金ストックの0.5%、時価総額の0.2%に過ぎない。本当に中国市場に進出したいなら、ユーザーのニーズを慎重につなぎ止め、深く理解する必要があり、それなりの投資をして地ならしをする必要がある。ユーザーに快適な利用体験を提供することで発展してきたアップルだが、中国市場の奥義を真に獲得したとはいえない。アップルにとっては、中国市場に対して今後さらに大規模な投資を行うかどうかが、本当に考えるべき問題だといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月19日