◆中国の大型電波望遠鏡の特長
レドームを知っている人ならば、その口径が大きいほどテレビの画面がよりクリアになることをご存じだろう。電波望遠鏡の場合、口径が大きいほど遠くを見通すことができるのだ。
中国科学院国家天文台500メートル口径球面電波望遠鏡プロジェクトの王啓明チーフワーカーによると、望遠鏡の反射面の面積は25万平方メートルで、一般的なサッカーグラウンド30個分に相当する。反射鏡ユニットの厚さはたった1ミリだが、アルミ合金を2000トン以上使用し、ビーム、ネット、フィードキャビンの6基の塔だけでも1万トン以上の鋼材を使用している。
しかし大型電波望遠鏡は金属を積み重ねてできた「でくのぼう」ではなく、最も精密な天文計器だ。光メカトロニクスのフィードプラットフォームを使用し、フィードキャビン内の並列ロボットによる2回の調整を加えることで、フィードと反射鏡間が直接つながっていなくても、ミリメートル級の追跡を可能にしており、宇宙の微弱電波信号を正確に集め、聞き取ることができる。
中国科学院国家天文台研究員で500メートル口径球面電波望遠鏡プロジェクト副チーフの彭勃氏は「当初の設計理念は、米アレシボ天文台から得られた。しかしアレシボ天文台と比べ、能動反射鏡システムは我々の最大の革新となっている。大型電波望遠鏡のネット構造は天体の移動の変化に伴い、ネット上の4450枚の反射鏡ユニットを動かし、電波望遠鏡の電源方向に300メートル口径の放物面を瞬時に形成することで、観測効率を大幅に高めることができる」と説明した。
アレシボ天文台は固定望遠鏡で、アンテナフィードの位置を変えることで、宇宙の約20度の帯状エリアを観測することしかできない。能動反射鏡により、中国の大型電波望遠鏡はより幅広い観測範囲を手にし、40度の天頂角をカバーできる。
中国科学院国家天文台副台長の鄭暁年氏は、「100メートル口径の独エフェルスベルク電波望遠鏡は、地上最大の設備と呼ばれていた。中国の大型電波望遠鏡の感度は、それに比べ約10倍に向上している。300メートル口径のアレシボ天文台は、50年以上にわたりそのトップの地位をキープしてきたが、中国の大型電波望遠鏡の総合性能は、その約10倍まで向上している。これは今後10年から20年に渡り、世界トップクラスの設備の地位を守り続けるだろう」と語った。
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