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山田祐也さん「押し返し、繋がり、自立していく学生たち」

人民網日本語版 2016年07月04日15:55
山田祐也さん「押し返し、繋がり、自立していく学生たち」

 2014年の7月に赴任してからあっという間に2年の年月が経ちました。2年間という数字だけを見るとあまり長くない感じもしますが、この2年間の協力隊生活は、任地の武漢で日々目にした、「武漢, 毎天不一様!」、“Wuhan, Different Everyday!”という言葉の様に日々物凄く変化を感じました。町の様子や、自分自身の現地の人たちとの関わり方など色々な変化がありましたが、やはり、一番印象に残っているのは学生たちの変化です。

 2014年の夏に正式に現在の配属先に赴任し、学生たちと関わるようになった時の私の中での学生たちの印象は、「刺激と栄養不足の筋肉!」という感じでした。私の配属先の武漢市財貿学校は、職業学校という位置づけから、大学受験を重視した進学校と比べ、勉強の在り方が異なるところが多くあると思います。そんなことから、すでに1年間勉強したという学生たちの日本語能力も、正直非常に頼りないものでした。しかし、協力隊として配属先で活動する時間は2年間しかない私は、のんびりコーヒーを飲みながら長江を眺めるような平和な日々を過ごす気はさらさらありませんでした。そこで、赴任直後の勢いに任せて、当時の状態の学生たちにはキツかったであろう要求をどんどん出していきました。しかし、驚いたことは、「え〜!疲れた〜!やだ〜!」と言いながらも、学生たちがしっかりと付いてきたのです。そこで、私の勢いも増し、特に赴任してすぐの第一学期目は、日々の日本語授業の他に補習授業や日本語スピーチコンテストなども行い、学生と私でどちらが先にギブアップするかを競うような日々を送っていました(結果的には、どちらもギブアップすることなく、やりきることが出来ました)。

 そんな色々と追い込まれている日々を送っているうちに、学生たちの間で少しずつ変化が起こってきました。それは、先輩と後輩の繋がりです。私自身、子どもの頃から、協力隊で武漢に赴任する直前まで柔道をしていましたが、柔道の世界だと何歳になっても、先輩と後輩の繋がりがしっかりとあり、その繋がりから多くのことを学ぶことができると考えています。しかし、赴任直後に、個人的に違和感を感じていたのは、学生たちの間で、そのような先輩と後輩の繋がりが全くないことでした。しかし、活動二年目ぐらいから、日本語スピーチコンテストや、日本語の補習授業、私の気まぐれで開いたちょっとしたイベントで、学年の異なる日本語専攻の学生同士が顔見知りになっていき、徐々に先輩と後輩の繋がりが生まれるようにもなりました。そして、最近では先輩・後輩関係を築いた学生たちが、週末に自主的に一緒に勉強しているということも聞くようになりました。また、赴任直後からずっと追い込んできている学生たちの日本語レベルが客観的に見ても上がってきたことから、その学生たちの後輩にとって、目指しながらも、いつかは越えなければいけない、明確な目標ができたようで、学生たちの日本語の勉強に対する態度も大きく変わったと感じています。

 最初は「刺激と栄養不足の筋肉」のようだった3年生たちは、全国高校生日本語スピーチコンテストで地区代表として全国大会に出場したり、日本での技能実習に参加するための選考試験の合格率も大きく向上しました。そんな彼らはもう、2年前に私の要求をただ頑張ってこなしているだけの彼らではありません。それぞれが、具体的な目標を持ち、その目標をどうしたらこなすことができるのかを、自分たちで考え、自分たちで動くようになりました。そんな彼らの姿を見て、今後ますます色々なことを経験し、力を付け、すごく頼もしい大人になっていくのだろうなと、感じるようにもなりました。

 現在、帰国を目の前にして思うことは、私ほど多くの人に迷惑をかけ、そしてお世話になり続けた協力隊員はあまりいないんじゃないかということです。とにかく、何かをやる時には、自分一人では絶対にできないので、配属先の同僚(日本語科とは全く関係はないけど、いつも優しくしてくれる友人たち)や、協力隊事業の理解者の方々、協力隊の仲間たち、JICAや中日政府関係者の方々、そして学生たちに、この2年間手を差し伸べ続けてもらいました。そのような、助けてくださった方々の良心で生まれた活動が、学生たちを変え、そして変わった学生たちがお互いに自分たちを変え、多くのプラスの変化を生み出してきました。この青年海外協力隊員として活動した2年間、色々な方々に助けていただいたことを忘れることなく、今回得た経験を次のステージでもどんどん生かし、また熱くて気持ちのいい変化をどんどん生んでいけたらと思います。

 平成26年度青年海外協力隊員 湖北省武漢市財貿学校 日本語教育 山田祐也

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 「人民網日本語版」2016年7月4日 


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