こうした現象の背後には製造基準という要因もあれば、企業による市場の位置づけという要因もある。基準についてみると、中国の一部の消費財の国内基準は、化学的安全性の面で欧州連合(EU)や米国などの基準とは開きがある。一連のメーカーが、同種の製品を製造していながら、長年にわたって国内販売製品と輸出製品で異なる指標を用いて品質のコントロールをしてきたという事情もある。市場の位置づけについてみると、これまで輸出加工を手がけるメーカーの多くが国内市場では製品の品質に対する敏感度がそれほど高くないと考え、国の基準を満たしていればよいとして、国内販売製品の品質向上にあまり力を入れてこなかった。また一連のメーカーが独自ブランドを樹立し、国内市場を開拓するのは難しいとして、輸出加工に専念する道を選んだこともある。
同責任者は、「こうした状況は国内で消費ニーズと消費レベルが高まる現実にますます合致しなくなっており、国内のミドルクラス・ハイクラスの消費ニーズが国内市場では満たされない状況を招いている。有効な供給とミドル・ハイクラスへの供給が不足し、消費を外部に流出させ、国内消費者が海外市場で争って買い物するという風潮を招いている」と指摘する。
そこで国は輸出企業が国内向け製品と海外向け製品が同じ生産ラインを使用し、同じ基準で製造し、同じ品質水準を達成するよう積極的に促している。この「3同」(同ライン、同基準、同水準)は、「2016年消費財の基準・品質の向上促進計画」に組み込まれた。
同委の劉衛軍副委員長は、「この取り組みは企業にとってプラスであり、企業の製品が輸出されるだけでなく、国内でもよりよい販路をもち、両市場でシェアを獲得することが可能になり。消費者にとってもプラスであり、海外で売られていた『メードインチャイナ』が国内でも買えるようになるので、一挙『多』得の取り組みだといえる」と話す。
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