価格が高くても、利用頻度が低くても、「神器」を購入したいと考える「リッチな消費者」はいるとみられる。そして今、翻訳が不正確、音声が不自然といった点が、AI翻訳機の今後の発展を制約するボトルネックになっている。実際に市場に出回るスマート翻訳機を試してみたところ、翻訳レベルが期待ほどではないことがわかった。たとえば「金髪」(ブロンドヘアー)を「ギリシャの贈り物」と訳したり、改まった場所で使うと不自然な合成音声が聞こえてきて非常に気まずい思いをしたりする。こうした問題を解決するために、AI翻訳機をさらに改良し、機械に学習させることが急務だ。
▽機械と人間は異なるフィールドへ
スマート時代には、芸術家すらも自分の仕事がAIに取って代わられるのではないかと懸念する。通訳も同じだ。実際、日常のやりとりなど多くのコミュニケーションの場面では、専門的で正確な同時通訳は必要ない。人による同時通訳の供給には限界があり、現在の巨大な市場ニーズに応えることは実際には不可能だ。
するとAI翻訳機が人間の通訳に完全に代わるものになるだろうか。答はもちろんノーだ。AIの登場は人が不要になることを意味しない。むしろ人の仕事がよりよくなるよう助けるものだといえる。機械翻訳は通訳の仕事を奪うわけではなく、補完的役割を効果的に果たすものになる。上海外国語大学高級翻訳学院の呉剛副院長は、「機械は通訳の技能のうちの画一的で、知性をあまり必要としない部分を代替するだけで、人間はより創造性に富んだ活動にもっと多くの力を注げるようになるだろう」と予想する。
将来、人間の通訳と機械翻訳がそれぞれターゲットとする市場が徐々に明確になるとみられる。同大英語学院言語文学部の陳■(王へんに奇)准教授は、「機械翻訳と人間の通訳は市場で異なる生態的地位を占め、異なるフィールドでそれぞれ競争を展開するようになるだろう。中~低級翻訳市場では、機械翻訳が主導的地位を占めるようになり、人間の通訳は高い精度を厳しく要求される高級翻訳市場に主に対応するようになるだろう。後者はたとえば文学、法律文書、医学系の資料といった専門的な内容のものだ」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年6月27日
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