日本の安倍晋三首相はこのほど、「全世代型の社会保障改革」を打ち出し、年金の受給開始年齢を70歳にまで引き上げ、65歳を超えても働くことができる企業を増やすため、全国の約12万社を対象に、定年制の撤廃や再雇用年齢の引き上げといった対応を呼びかけることを決めた。さらに、税金負担を軽減するため「定年制の廃止」を視野に入れた議論を進めて、「生涯現役社会」を目指すという。日本メディアは、同改革が1-2年後から実施されるのではないかと予想している。
高齢化問題に直面しているのは日本だけではない。米国のジャーナリストでスタンフォード大学長寿研究センターの訪問学者・テッド・C.フィッシュマン氏は、北京で「Shock of Gray」というテーマの講座を行い、「高齢化の議論は、高齢者をめぐる議論というだけでなく、全世界、全社会が向かい合うべき問題でもある」との見方を示した。フィッシュマン氏は、米国や日本、スペイン、中国の数都市に足を運び、企業の従業員や雇用主、経済学者、当局者、医療スタッフ、一般人など100人ほどに取材し、こうした人々の生き生きとした物語を「Shock of Gray」という本にまとめた。
理想的な老後の過ごし方とは?
中国は高齢化社会という現実に直面しており、今後も中国の若い夫婦はそれぞれの両親合わせて4人と、自分の子供少なくとも1人を養わなければならないという状況に直面し続けるだけでなく、過疎化問題により、高齢者が田舎で一人暮らしをし、誰からも世話してもらえないという問題も続くだろう。そのような一人っ子の男女とその親にとって理想的な老後の過ごし方はないのだろうか?
その点について、フィッシュマン氏は、「難しい問題だが、他の国の例を参考にできるかもしれない。私たちは高齢者が子供と遠く離れて住んでいる場所を『自然に形成された高齢者コミュニティ』と呼んでいる。私が一番印象深かった解決策の一つは、高齢者がコミュニティを形成し、必要なサービスをシェアし合うという方法だ。高齢者が集まって、共に、必要な医療、健康、野菜、果物、飲み物、食べ物、レクリエーションなどをカバーし合うのだ。米国ではそのような方法が、『村落スタイル』と呼ばれ、たくさんのメリットがある。まず、貧しい人と多くの経済的利益を共有できる。次に、コミュニティがあるため高齢者が孤立せずにすむ。このようなスタイルはとても成功しているように感じる。中国には相応のインフラが既にあり、公共資源、個人の資源、ボランティアを正しく組み合わせるだけで、実現できる」との見方を示す。
中国では、農村の高齢化と都市の高齢化が実は全く異なる問題となっている。農村の多くの人が都市に出稼ぎして、介護などの仕事をしている。一方、一線都市の住民は往々にしてその種の仕事をしたがらない。世界各地では、シルバー事業に携わっている人は、二つのケースに分かれている。一つは、大家族を養うために、お金を家や子供に送っているというケース。もう一つは、親の介護のために仕事を辞めた後に、元の仕事に戻りたいと希望しているものの、必要な技術や人脈などが変化していて戻ることができないが、すでに高齢者介護のエキスパートとしての条件を備えており、医療問題の処理の仕方や高齢者との意思の疎通に長けるようになっているため、その仕事に携わるようになったというケースだ。米国で介護の仕事に携わっている人の多くは、自分の親の介護をし、親が亡くなった後に、他の家庭の高齢者の介護をしてお金を稼いでいる。これは、中国においては、実際には大きなビジネスチャンスとなる。
老後の生活を有意義にし、孤独にならない方法は?
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