北京、修士卒でも月給3万円 地下の6畳間暮らし (2)
■基本給3万3000円
徐さんは、「北京に来てから行った就職フェアは最終学歴や大学、専攻学科、社会経験を競う修士課程や博士課程の卒業生でいっぱいだった。とにかく、雇用者側も今、受け入れのハードルを高くしている。僕たちみたいに、地方の大学の修士課程を卒業していても、競争に勝てない」と肩を落とす。自身の専攻と一致する仕事にこだわっていたため、北京に来て半年は無職だったという。
そして、手元のお金も底をつこうかという時、今の私営の食品会社を見つけたといい、「化学検査員なので、専門ともほぼ合致している。保険料を引かれた後の基本給は月2500元(約3万3000円)」。しかし学部卒の卒業生も修士も、新入社員は一律2500元スタートであることに当初、徐さんは少し納得いかなかったといい、「人事部の担当者は、『技術のレベルや仕事ぶりを重視している』と言っていた。昇給を願うなら、業績を上げなければならない」と語る。
しかし、修士でも基本給2500元スタートという現状を今は受け入れたとし、「自分の気持ちを整理して、ゼロからスタート」と前を向く。
■修士で両親の期待も大 「実家には戻れない」
同じく地下で部屋を借りている河南省出身の劉桐さんも工科系大学で文系の修士号を取得したが、置かれている状況は徐さんよりもさらに厳しい。
法学修士という学歴を持つ劉さんは取材に対して、「企業は学部の出身校が名門かどうかをみる。最初の学歴が重要。大学のランクも重要で、採用条件に『985工程(中国教育部が1998年5月に定めたもので、中国の大学での研究活動の質を国際レベルに挙げるために、限られた大学に重点的に投資していくとしたプロジェクト)に認定されている大学の修士課程修了者以外はお断り』と書いている企業もあるほど」と切実。「自分の修士号の価値は高くない」とし、「大学院生だった3年間、周囲の友人の多くがオンラインゲームや韓国ドラマに夢中で、自分も適当に論文を書いて卒業した」と語った。
社会に出ると、悠長なことは言っていられなくなり、「公務員試験を2回受けた」というがいずれも「失敗」。「営業や不動産仲介業者、家庭教師などもやったが、どれも続かず、今は、小さな弁護士事務所で助手をしている」。しかし「法学修士といっても、弁護士資格がなければ雑用しかできない。来年司法試験をうけるつもり」という。
このように2-3千元(約2万6千-3万9千円)の給料をもらって、地下の借家に住み、なかなか将来のめども立たないが、「実家には戻れない」という。「都市の人には分からないだろうけど、僕達を待ち受けている現実とはそのようなもの。北京であくせく働いて、時々家族にお金を送っていれば、両親の顔も立つ。地元に戻るなど両親には決して受け入れられない」。(編集KN)
「人民網日本語版」2012年12月19日