▽調整は「合理的範囲の管理」へシフト
フォーラムに参加した専門家から、経済が「成長ペースのギアチェンジ期」に入った後、マクロ調整は「最低ラインの防衛戦」から「合理的な範囲の管理」に移行すべきとの見方が示された。
劉委員によると、10年から13年にかけて、中国の経済成長は何度か大きな下ぶれ圧力に直面した。経済運営が最低ラインを下回らないよう、節目のタイミングごとに一連のミクロ的な活性化措置を打ち出すことが、マクロ調整の重要な手段となっていた。
劉委員は、過去3年間は毎年のように循環ループを描いてきた。上半期には経済成長ペースが低下し、年の中頃にミクロ的な活性化措置を打ち出すと、下半期の経済成長ペースは小幅に回復し、また翌年も上半期は成長ペースが低下するというループだ。今年下半期も経済成長ペースは小幅の回復が予想されると指摘。
このような調整方法による弊害は明らかだ。一方では中国の経済活動を受け身にさせ、もう一方ではミクロ的活性化政策をうち出すことで、投資の限界効用が徐々に弱まるという弊害だ。中国人民大学経済学院の楊瑞竜院長によると、ここ数年みられた「貸出-投資駆動モデル」は中国の経済成長の質を改善しなかっただけでなく、伝統的な投資の拡大における市場という基盤および需要という基盤を弱体化させ、中国の経済構造の深層レベルでの矛盾を一層激化させることになった。
劉委員によると、マクロ調整の考え方を最低ラインの死守から、経済運営の合理的範囲の中間ラインの把握へと転換させる必要がある。これによりマクロ調整には上下動する余地が与えられ、上限と下限との間の経済成長の可能性を利用し、貴重な合理的範囲を浪費しないようにし、マクロ調整の効率に損失を与えないようにすることが可能になる。劉委員は、現在の短期的で応急処置的な対処方法を、中長期的に発展する新たな局面の構築へと改革し、中長期的で持久力のある推進力を備えた総合的な対処方法を採用する必要があると提案する。
同科学院経済研究所の裴長洪所長も、対外貿易輸出における合理的範囲の管理という概念をうち出す。世界の貿易情勢は思わしくなく、中国の対外貿易も成長ペースのギアチェンジ期に入った。今年の対外貿易状況から考えて、既定の目標を達成するには下半期にも引き続き各種の措置を取る必要があるとしている。
裴所長によれば、中国の毎年の対外貿易の成長率目標は合理的な成長の範囲内で設定するべきだ。だが現在の国際環境の下では、合理的な範囲で管理を進めたとしても、やはり対外貿易競争力の低下という課題に直面する。既定の対外貿易の成長率目標を達成するには、貿易黒字と経常収支の黒字を維持すると同時に、サービス貿易の赤字を容認して中国経済の供給面の改善を進めることが必要だ。また中国は新たな国際競争力を育成する必要があり、そのために開放型の新しい経済体制を構築することが必要だという。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年7月1日