日本の有識者でつくる「村山首相談話を継承し発展させる会」は18日、東京の衆議院第1議員会館でシンポジウムを開いた。南は沖縄県から北は北海道まで、日本各地・各界から400人余りの人々が参加した。参加者は歴史を直視し、「解釈改憲」を止め、平和外交に戻るよう安倍政権に呼びかけた。
■「日本は自らを被害者と見なすだけではなく、それ以上に加害者、侵略者であることを認識すべきだ」
浅井基文・元日本外務省中国課長は日本にとってポツダム宣言と日本国憲法第9条が持つ重要な意義について詳しく語った。浅井氏は「日中関係の悪化を招いた2つの大きな問題は歴史問題と領土問題だが、ポツダム宣言は釣魚島(日本名・尖閣諸島)が日本の領土ではないことを明確に指摘している」と指摘した。
記者が10分早く会場に来ると、300人収容可能な会議室はすでに満席で、他の会議室から臨時に椅子を持ち運ばなければならないほどだった。記者は主催団体の名称が「村山談話を継承し発展させる会」から「村山首相談話を継承し発展させる会」に改められたことに注目した。藤田高景理事長は人民日報の記者に「『村山談話』は個人の発表した談話だと思っている人が少なくないが、実は村山富市氏を首相とする内閣の発表した談話だ」と説明。さらに「集団的自衛権の行使を容認する安倍内閣の7月1日の閣議決定は日本憲政史上の汚点だ。誤った歴史認識に基づく安倍外交を放任し続ければ、日本外交に未来はない」と語った。
市民団体「平和フォーラム」の福山真劫代表は「日本が発動したあの侵略戦争はアジア各国に多くの死傷者をもたらした。日本は自らを被害者と見なすだけではなく、それ以上に加害者、侵略者であることを認識すべきだ。この根本的事実が抹消されてはならない。加害と侵略の事実を認めた『村山談話』は戦後日本の平和と民主主義の出発点だ」と語った。
友田静江さん(65)は人民日報の記者に「ポツダム宣言が釣魚島は日本の領土でないと定めていることは今日の講座で初めて知った。日中関係を考えるうえで新たな視点になる」と語った。
■「安倍政権の提唱する『戦後レジームからの脱却』の本質は、戦後国際秩序の全面否定」
「日中両国民は歴史認識の隔たりを取り除くために努力する必要がある。肝要なのは日本が歴史上の事実を認め、侵略戦争について口頭で謝罪するだけでなく、誠意としっかりした行動を示し、歴史和解実現のためにたゆまず努力しなければならないということだ」。これは日本の歴史学者、纐纈厚山口大学副学長が2010年9月18日に中国・瀋陽市の九一八歴史博物館を見学した際のインタビューでの言葉だ。これはこのほど人民日報記者に送られた著書『領土問題と歴史認識 なぜ、日中韓は手をつなげないのか』に明記されている。
日本にとって9月18日はよく反省すべき日のはずだ。だが18日の日本の各大手紙をめくると、侵略戦争を反省する言葉はこれっぽっちもなかった。安倍晋三首相が首相に返り咲いて以来、日本政治は右傾化し続け、侵略の歴史を否認する様々な発言が次々に飛びだしている。9月3日に改造されたばかりの安倍内閣では、右翼政治屋が公然と重用された。
■「現在の日本政治の右傾化に憂慮。その背後の原因は日本世論の右傾化」
日本の政治と世論が右傾化する中、日本では少なからぬ有識者が著書、寄稿、講演などを通じて日本の現状に次々と憂慮の念を表明している。
「九一八事変(満州事変)と七七事変(盧溝橋事件)は中国の人々に多大な害を与えた。だが大変遺憾なことに、大多数の日本人はこの点を意識していない。日本の学校教育も、この点をほぼ見落としている。本日の集会が、より多くの日本の民衆が過去の侵略の歴史について考え、反省する契機となることを期待している。集団的自衛権の行使を容認する安倍政権の閣議決定は確かに大変恐ろしいことだが、民衆が日本の現在の世論環境の危険性を意識していないことはもっと恐ろしい。現在の日本政治家の右傾化は人々を憂慮させる。その背後の原因は日本世論の右傾化だ。こうした世論環境を徹底的に変える契機をつくることを大変切望している」。浅井氏は人民日報の記者にこう語った。
明治大学の山田朗教授は著書で「もし過去の歴史に対して責任を負わない姿勢であるなら、日本に未来はなく、信頼を勝ち取ることもない」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年9月19日