日本の内閣府は、消費税率の引き上げ、個人消費や工業生産額の継続的な不調といった要因を抱える中でこのほど発表した10月の月例経済報告において、景気の基調判断を2カ月連続で下方修正した。日本政府が2カ月連続で景気基調判断を下方修正したのは、2012年以来のことだ。アナリストは、「(安倍政権の経済政策)アベノミクスのカンフル剤としての効果が薄れつつあり、日本の経済政策は今再び選択の時を迎えている」という。
今年第2四半期(4-6月)の日本の国内総生産(GDP)増加率は、年率換算でマイナス7.1%となり、09年のグローバル金融危機以降で最大のマイナス幅となった。第3四半期(7-9月)に入ると、経済復興の歩みも思うように進まなくなった。4~9月の輸出量は前年同期比0.3%減少し、8月の個人消費も同4.7%減少した。
米国が量的緩和政策を徐々に縮小し、経済データが好転していることを背景に、日本円は8月中旬から円安が加速している。製造業は大挙して海外への移転を進めており、円安は輸出を効果的に推進しなかっただけでなく、燃料の輸入価格の高騰を招いて貿易赤字を激化させている。9月の貿易赤字は9583億円で同月の最高を記録し、27カ月連続の貿易赤字となった。
円安がもたらした輸入型のインフレは国内の個人消費を押さえ込んだだけでなく、海外にある日本企業の経営にも脅威を与えている。これらの企業は円安の加速や国内の人材コストの上昇という2つのマイナス材料の影響で、利幅が大きく縮小している。
また小渕優子経済産業大臣が、政治資金の管理不十分により、就任からわずか1カ月ほどでこのほど辞職した。戦いの途中で将軍を変えることになり、薄氷を踏むような危うい経済復興の現状に冷や水を浴びせかけた。
内閣府は今後の経済情勢について、日本経済は全体としてはなお安定的復興の軌道に乗っているが、近い将来に低迷すると予想する。2015年10月に消費税率を現行の8%から10%に引き上げるかどうかを年内に決定しなければならず、これが安倍政権が直面する一番目の難題だ。消費税率の引き上げは、GDPの2倍にも達する巨額の財政赤字の解消をねらったものだが、タイミングを間違えれば、日本経済をさらに冷え込ませることになる。安倍内閣の経済顧問を務める静岡県立大学の本田悦朗教授は、「消費税率引き上げのタイミングは1年半遅らせるべき」との見方を示す。また衆参院議員42人が税率引き上げの延期を求める法案を提出しようとしており、政策決定に携わる人々が日本経済の現状に十分な信頼感を抱いていないことがわかる。
日本の金融政策も2つの難題に直面している。日本銀行(中央銀行)がうち出したインフレ率2%の達成という目標の期限まであと半年しかないが、日本のコアインフレ率は1.25%前後をウロウロしている。従業員の実質賃金が低下する中、物価を上昇させることはますます難しくなっている。最近の市場には、日銀は2%のインフレ目標達成にかかる時間をこれまでの2年から3%にさりげなく引き延ばそうとしている、との見方が出ている。
フランスのパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「アベノミクスが2013年にスタートすると、弊害がプラス要因を上回った。金融緩和政策や財政支援政策を追加実施して、経済発展を喚起することを求める声が日に日に大きくなっているが、こうしたやり方では民間投資をこれまで以上に抑制してしまう可能性がある。今日本に必要なことは、アベノミクスの1本目と2本目の矢を下ろし、3本目の矢を早急に放つことだ。3本目の矢とはすなわち経済の構造改革だ」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年10月28日