現在絵文字には数百の種類があるといわれている。喜怒哀楽を表すアニメ顔のほか、サイン、家、交通手段、旗、紙幣、食べ物、植物、動物など多種多様な絵文字がそろっている。どの絵文字も一目でその意味がわかる。絵文字の魅力は、百万の言葉を使って表現する以上の感情を、マークをタッチするだけで伝えられることだと多くのネット愛好者は言う。またある言語学者によると、顔マークの使い勝手のいいところは顔の見えない相手と交流するときに、言葉のニュアンスを和らげる効果があることだという。怒った気持ちを表現するときでも、ストレートな文章を送るより、眉毛を三角にしたアニメ顔を送った方が、角がたたないですむ。
世界的なブーム
米国の研究センター2010年の調査によると、現代人におけるコミュニケーション手段の第1の方法は、携帯電話によるショートメールであり、実際に会って話すという方法は3番目だった。また2013年の別の調査では、メールで絵文字を使うかどうかとの質問について、米国人の74%と中国人の82%が「使う」と回答した。このほかツイッターで最もよく使われるスマイルマークの1日の利用数は4億7000万回にも達するという。あるネット達人は、顔マークを並べて米国のシンガーソングライター・ビヨンセの「Crazy in love」や、米国の小説「白鯨」を翻訳した。ロシアのある青年は顔マークだけからなるネットゲームを作り、人気を博している。
現在ユニコードに収められている顔マークの数は722に達しているが、この先さらに250以上が追加される見込みで、その中には雨雲、サングラス、遊び人風のサラリーマンなどもあるという。さらにスマイルマークの顔色はこれまで黄色だけだったが、ユーザーの好みによって、赤や黒、白などの選択も自由にできるようになる。
「革新」それとも「回帰」
顔マークは表面的にはハイテク技術の産物である。ネット愛好者はそれによってネット上において絵文字が文字に変わるという革命が起きたと考えている。しかし人類学者によると、これは一種の原始への回帰現象だと見られている。人類の祖先が使った初めての記録方式が簡単な図案であったためだ。ある歴史学者はその著書の中で、記号や図案を文字の原形だと指摘している。人類はその初めのころにすでに絵を書いたりすることをコミュニケーションの道具としていた。これらは古代エジプト、中国、メソポタミアなどの洞窟の壁画などにその証を見ることができる。現代に入っても、人類は記号などを用いて意味を伝えようとしている。ドル($)マークや赤丸に斜線の入った「禁止マーク」は世界各国で一般的に用いられている。