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【第147回】商業信用毀損の実務 (2)

人民網日本語版 2014年12月31日16:43

二、コメント

1.前回の掲載で、商業信用毀損の四つ構成要件を説明した。その中、商業信用毀損に該当するための要件一には、まず原告と被告との競争関係の存在が要求された。しかし、実務には、行政監督機関への匿名摘発、消費者告発、マスコミの新聞報道、名人のブログなどを利用して他社への商業信用毀損を実施したことは多発している。この場合、背後の実施者を特定できない限り、または共謀の証拠を有しない限り、上記要件一の欠如で、商業信用毀損で起訴できず、名誉権毀損の理由で表面の実施者しかを起訴できない。農夫山泉は名誉権毀損の理由で「京華時報」しかを起訴していないのは、この理由の為である。

2.商業信用毀損、名誉権毀損のいずれにしても、原告が勝訴した場合、①侵害の停止、②名誉の回復、影響除去及び謝罪要求、③損害賠償を要求する権利を獲得できる。実務上には、上記①、②につき、裁判所が事前指定した新聞紙にて広告掲載の方式で義務履行を被告に命じるのは原則である(掲載内容は裁判所が事前審査する)。しかし、損害賠償の金額につき、原告が直接損失の多少を立証できない理由で、懲罰性の立法宗旨ではない立法現状の下で請求金額より遥かに下回る金額を命じられたケースが圧倒的に多い。本案の場合、たとえ農夫山泉が勝訴しても、農夫山泉はこの事件がない場合、消費者が必ず自社製品を購入したことを立証しにくいので、訴訟で損害を填補する意図が叶えない。

3.食品安全及び環境汚染に民衆の恐慌心理が主導地位を占める現状に加え、3G端末など通信技術の急速な進化で情報の迅速伝播可能な時代には、食品、薬品などの商品を生産する企業へのマイナス新聞報道が多くなればなるほど、当該企業にとって不利になる。この場合、代替商品を購入することが一般消費者の唯一選択になり、消費者が事件の真贋(毀損行為に該当するか)を関心しない。本件には、農夫山泉が「京華時報」の27日間の連続報道を受けたあと、はじめて記者会見を行い、スピード感が相当に遅いうえ、対応策にも落ち度がある。農夫山泉は1回目報道後に、意図確認の為、迅速に「京華時報」に連絡する必要があり、場合によって、独占インタビューを要請してみる必要があるが、最初から、「京華時報」と対抗したり、攻撃な発言などの措置で事件の拡大化、無視放任の態度のいずれもを取るべきではない。また、北京市場から撤退する決意は、責任を負わない印象しか消費者に残せないので、尊厳などの話にならない。

 作者:周暘 錦天城法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科卒 法学修士)

 「人民網日本語版」2014年12月31日

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