暗黒物質と暗黒エネルギーは、21世紀の現代物質科学における二つの「黒雲」とされている。全世界の物理学者と天文学者が、その本質の謎を究明しようと取り組んでいる。中国人研究者はこのほど、今後5−10年で四川省の錦屏地下実験室および西蔵(チベット)阿里天文台の建設を進め、中国の暗黒物質・暗黒エネルギー研究の二つの「武器」にすると発表した。中国科学報が伝えた。
このほど開かれた香山科学会議で、執行議長の一人である上海交通大学粒子・核物理研究所所長の李向東教授は、「第13次五カ年計画(2016−2020年)、第14次五カ年計画(2021−2025年)の期間中、錦屏地下実験室の優位性を十分に発揮し、先進的な探査・測定技術の研究開発を急ぐ。5−10年内に一連の相互関連性を持つ探査・測定プロジェクトを完了し、中国の暗黒物質の探査・測定をニュートリノの極限の感度に到達させ、機会があれば率先して暗黒物質を発見する」と語った。
現在、錦屏地下実験室の2期建設拡張工事が進められており、拡張後の13万立方メートルの実験室内で、暗黒物質の地下での直接的な探査・測定が実施される見通しだ。
研究者は今回の香山科学会議で、暗黒エネルギーの研究について、チベット阿里天文台への投資を拡大し、その優れた地理・気象条件を活用するべきだと主張した。また北半球の地上宇宙マイクロ波背景放射を率先して実施し、宇宙の原始重力波、暗黒エネルギーの性質の研究を行い、宇宙の急速な膨張を確かめるべきだと提案した。
中国科学院国家天文台阿里観測ステーションは、チベット自治区阿里獅泉河鎮から南の標高5100メートルの山に位置し、標高が高く、雲が少なく、蒸気が少なく、透明度が高い。竣工後は、北半球の宇宙マイクロ波背景放射の空白を埋める見通しだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年6月24日