■塗り絵ブックブームを促進する役割を担ったSNS
大人のための塗り絵ブックは、「ひみつの花園」のヒットによって生まれた新鮮なブームというわけではない。読売新聞は2006年に、日本では20社近い出版社が大人のための塗り絵を出版したと報道している。河出書房新社は2005年から大人のための塗り絵の出版を開始した。これまでに出版した大人の塗り絵シリーズは、計11冊、2006年までのシリーズ累計発行部数は1200万部を超えている。
「ひみつの花園」が数ある塗り絵ブックの中で先駆け的なヒットとなったのは、基本的に絵の質の高さと関係している。同書を中国で出版した編集者はネット上で塗り絵の攻略ポイントについてシェアをしている。「ひみつの花園」の絵はそれだけで非常に美しく、購入者がどんな色に塗っていいかわからなくても、単に線の細部の輪郭にそって色を塗っていけばかならず美しい絵に仕上がる。また、このブームにおけるSNSが果たした役割も無視できない。韓国のお笑い芸人、キム・キボムは「ひみつの花園」の塗り絵を完成させた作品をネットのSNSに投稿したところ、10万を超える「いいね」が寄せられた。同書は現在放送中の韓国ドラマにも登場したほか、米国の女優・歌手のズーイー・デシャネルもSNSの公式アカウントに「ひみつの花園」をシェアしている。
塗り絵ブックに色を塗って、モーメンツに投稿すれば数十もの「いいね」を獲得できるとあって、塗り絵ブックの愛好者はネット上に作品の写真を好んでシェアしている。心理学者は、このスタイルは期せずしてニーズ階層論にマッチしているという見方を示し、「人は皆、評価を求めるニーズを持っている。若い人が写真をネットにシェアするのは、一つは自分を表現したいからで、もう一つは、他人からの評価を得ることで、自分の存在価値を徐々に証明し、同時に自信を強めていきたいからだ」と語っている。(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年7月1日