富の創造、それは過去30年間の中国の企業家にとっての一貫した命題であった。「創一代(一代で富を築いた創業者)」たちは、血と汗と知恵で富を築き上げてきたわけだが、その築き上げてきた富を如何に継承するかはさらに頭を抱える難題のようだ。一財網が伝えた。
後継者の育成は、世界中の家族企業が抱える課題だ。個性豊かで新しいものを追い求める80年代生まれや90年代生まれの後継者たちが家業を受け継ぐ際、彼らにはどんな心構えが必要で、家族企業の伝統的継承モデルはどんな変革が必要なのだろうか。
投資好きで仕事嫌いな「富二代」
改革開放30年来、中国には影響力と創造力溢れる民営企業家が数多く輩出された。彼らは独自の経営理念を持ち、ある特定の分野を極めることに長けている。しかし、父親が苦心して築き上げた会社に関心のない後継者は増える一方で、刺激的で「収入が入りやすい」資本市場にばかり熱中している。
調査によると、「バーチャル経済」に関心の強い企業の後継者は非常に多く、インターネットや電子商取引、利益モデル、VC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベート・エクイティ・ファンド)といった投資に熱中し、一方で創業や企業管理、コストコントロールといった面への関心は非常に薄い。
中欧国際工商学院副院長兼中国側教務部長の張維炯氏は「第4回中国家族伝承フォーラム」において、「中国の企業家は、彼らがこれまで苦心して積み上げてきた基盤や富、ブランド、理想、専門スキルを如何に次の世代に継承するかに頭を悩ませている。多くの若い世代にとって、外の世界は煌びやかで、チャンスが多く、儲けやすい。いわゆる資本の運用やM&A、レバレッジ投資が魅惑的なのだ。実体経済、製造業に対する彼らの興味は確実に削がれている」と語る。
張氏は、現在多く(少なくとも5分の1)の富二代(莫大な財産を相続した民営企業経営者の子女)は、両親と異なる分野で自ら創業することを選び、それにより自分の能力をアピールしようとしていると分析している。「家族企業は時代遅れ」といった理由も彼らが事業の引き継ぎを拒む理由として挙げられるという。