中国農業科学院蘭州畜牧・獣薬研究所(以下、同研究所)が8月22日に発表した情報によると、同研究所と蘭州化学物理研究所や蘭州大学などの研究機関でつくる研究チームは、原始細胞がグラフェンを起源とすることを発見した。中国科学報が伝えた。
同論文の筆頭著者、同研究所の王春梅氏によると、研究チームは材料のイオン選択性の実験をする際に偶然、グラフェンが生物細胞と同じイオン選択性を持つことを発見した。そこで実験室内で強酸性・高塩分の原始海洋条件を作り出したところ、異なる大きさの単層グラフェンが温度変化に伴い密閉された小さな管に変化するか、細胞の大きさに近い小胞に変わった。これらの管の表面の螺旋状の構造は、DNA/RNAの夾角の高さと一致した。
チームのメンバーである田竜竜氏によると、これらの中が空洞の小胞にはペプチド鎖など有機物質を入れることができ、脆弱な原始生命体に安定的な保護の場を提供できる。また研究結果によると、グラフェン表面のL-アミノ酸に対する親和性はD-アミノ酸よりも高くなっている。現代の生物のペプチド鎖は、ほぼすべてL-アミノ酸によって構成されている。グラフェン表面が多くのペプチド鎖を吸着し、自動的に二次構造を形成する。これはグラフェンがペプチド鎖を刺激し、タンパク質に変えられる可能性を意味している。チームのメンバーである李湛氏は、「タンパク質と核酸がグラフェンの環境内から合成できれば、タンパク質とDNA/RNAに前後関係がないことになる。この2種類の物質は原始時代の地球に同時かつ大量に存在し、相互作用をもたらし、生命を生んだ可能性がある」と説明した。
チームはこの理念に基づき、新たな生命の起源に関する理論を打ち出し、生命の起源はグラフェンであるとした。原始の海洋において、核酸とタンパク質がグラフェン表面を起源とし、混合し絡み合っていた。この混合は原始の海洋では幅広く存在した。グラフェンの小胞が出現すると、その中に包み込まれて相互作用を発揮し、生命が誕生した。現在のさまざまな生命は、最も単純な生物の進化によって形成されたわけではない。原始の海洋には多くのさまざまなRNAがあり、これらの同じ、もしくは類似する構造がそれぞれ発育・進化を遂げ、現在の多彩な世界を形成した。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年8月25日