1993年秋、日本人作家・井上晴樹氏は大連を訪れた。偶然露天本屋で見かけた「旅順大虐殺」という名の本が彼の目に留まり購入した。「黄土の丘に1万8千人が埋葬されている」。井上氏はこの書籍の背景研究を進めるにつれ、これが単なる小説ではなく、ある歴史の真相を綴ったものだということが分かったのだった。遼寧日報が伝えた。
早稲田大学文学部を卒業した井上氏は、歴史が好きで1894年の中日甲午戦争(日清戦争)に関する知識も決して少なくなかったが、「旅順大虐殺」という事件は一度も耳にしたことがなかった。100年来、日本にこの事件の全貌を反映した書籍は存在せず、「今日の日本の教科書に載っていないばかりか、多くの歴史の先生ですらこの史実を知らない」と語る。
彼の心は揺れ動き、この一冊を手にしながら、この歴史を蘇らせたいという思いが込み上げた。